THE RiCECOOKERS
粋彩遊戯 – THE RiCECOOKERS
春かほる風は凪ぎ
塵と消ゆる夢
霞草が乱れ咲く
細く立つ雲は
紫苑に染められ
いとはかなきかな
無常なる
ふわり ふわり
漂ふ蜻蛉が
ゆらり ゆらり
火影に溶けてゆく
藍深く流る水
交わるたび
揺れうつろふ影
あはれなり
雨雫こぼれ落ち
響くたびに
いとかなしきかな
静けさを増す
あてもなく
徒然なるままに
かぎりあるみちは
いつしか目の前に
つかのまの
夢のまにまに
映る景色は
遠く遠く
うたかたの
涙さへ染めた
沙羅双樹の花の色
激しく燃える
はるかなる霞のむこうがわ
かすかに木漏れ日が差し込む
花 やがて露に濡れ悩ましく
鳥 高く狂ひ舞ふ艶やかに
風 さやか細い羽根吹き上げる
月 まで届くように
つかのまの
夢のまにまに
揺れる憂き世は
巡る 巡る
うたかたの
涙さへ沁みる
沙羅双樹のはなびら
遠く まだ遠く
あまづたふ
日のもとへ
巡る また巡る
現し世の
虚しさよ
深くしたたり穿つ血滴
大地が音を立てて割れる