愛想尽かしたよ全て捨て去るつもりだ日暮れを待たずにお前は家を出たのさ満ち足りた夢を見続けるのを拒んで何処までもつづく道に果敢に挑んだ雨の降る夜は血塗(まみ)れになり転がる夢に怯えては寒さに震えているよ見失いそうだ幽かな光も夜となく昼となく彷徨い歩けば勇み足なのか己を過信したのか軌道に乗れずにお前は迷い始めた諦めつけなよ 全ての手を出し尽くし自分の非力は今更判ってるだろうつまらない事で気が屈したんだ
螺子(ねじ)の外れた子供が云うには俄か仕込みだけじゃ長持ちしないぜ派手で中身の無い女にさえ鼻であしらわれりゃ行く末不安だ自由気儘に生きてきた心算(つもり)が予定調和に踊らされていたのさ風に追われて西へ東へと昔を名残り惜しむ暇も無い時は流れ早一週口笛吹いてりゃあっと云う間さ月が真ん円まんで酔っぱらってあの娘にチューすで艶話で終われば良いものを日毎積もる重さに耐えかねた何時か削がれる化けの皮ならばいっ
訳知り顔の箱入り子供(がき)が大手を振って歩いているよ道に寝そべる俺に一瞥(いちべつ)屑山を踏みつけてくよ若さにかまけ無闇矢鱈と威勢の良い事ばかり云うよ先を見越しちゃ不安ばかりで考えたら遣切(やりき)れぬだろう大きくなれよ 我武者羅だけ買ってやる何処に出しても恥ずかしくない型に嵌った玩具(おもちゃ)を作りな宥(なだ)められたり脅されたりで首傾げる暇も無いだろう訳知り顔の箱入り子供の歯車欠けて無残な
穏やかな午後日向に寝そべりちっとも変わり映えのない日々を疎(うとん)じてみるけど大きな夢に少ない元手じゃ今更気負ってみても始まらないかな判った顔してしばしば仕事をさぼった若過ぎた賭けの附(つけ)だけ手元に残った時々空を見上げては想うたった一度のチャンスは何時訪れたろう言葉が足りず頷くばかりじゃ自分にすら嫌気が差し項垂(うなだ)れてしまう日もあるそれでも何時か未だ救われると少しは信じてるのさ遣切れな
世の中を易く渡れぬ奴等が縋(すが)る女共力で振り払い見渡す限りの大海原に人生賭けると港を後にした太陽ぎらぎら照りつけているよゆっくり進路を進んで行く船俗世の汚れを潮に流せば気分はよーそろ飛魚跳ねるよ順風に帆を揚げてざぶーん目指すは新天地ざぶーん生まれて来た事がおお 漸(ようや)く嬉しくなるよところが晴天俄に狂った嵐に一体何処へ流されてくのか視界を遮る荒波に揉まれ奴等はおろおろ極楽往生かい?突風が突
舞い上がる西風に攫(さら)われたいよ膨らむだけ膨らんだ風船だから人知れずひと思いに終わりたいよ蒼褪めた人波にもう耐えられない震えて受話器を握る繋ぎ止めたいのに戸惑う君の言葉に張り裂かれそう滲(にじ)んでゆく 雨曝しの夜跡切れてゆく声を抱いて眠るよ目を閉じれば見えるのさ鮮やかな陽が忘れてたよ安らぎに満ち溢れた君真夜中舗道に崩れ酔い潰れても冽(つめ)たい後悔を辿り泣き伏している沈んでゆく 雨曝しの夜霞
夜をひとっ飛び俺等はあやかし浮かれ調子の喇叭(らっぱ)吹き鳴らす言葉巧みに人を誑(たぶらか)す馬の糞でも喰らうが良いよ戯れと笑い飛ばすよ流れを乱し睨みを利かす碧めた月だけが見てる日の出と共に姿を隠し又も取らぬ狸の皮算用道理人は俺を忌嫌いツキが落ちると逃げて廻るのさ俺等を袖にしちゃ駄目さ独りになれば何の事はない附焼刃の智栄も剥れて虚しい誘いに乗る者も無く古(いにしえ)の伽話と忘れられてしまったのさ
飛び出したミサイルが彼方を狙い逃げ惑う人々の群れが視えるそれを嘲笑うかの様に崩れ次々と道を塞ぐビルの残骸が矢継早に唸る轟音に怯え俺達は後戻りできぬ事を知る僅かに射す陽の光だけを頼りに虫の様に手足を縮めたまま生きた夢にすら見ない安息は火の粉と共に瞬く間に消え去ったまま何年続くかと思われた時間まやかしの静寂が俺達を包む恐る恐る首を出し見たものは何一つ残らぬ無限の原野ばかり自ら科した鎖さえ解き放てずにい
今夜は独りにしないで行き着く先が視えるから痛みを隠し笑っても寂しくなったら俺等の家に来いよ寒い時は二人で抱き合っていれば何も恐くなかった筈だろう気の所為(せい)かい何処(どっか)でツキが落ちたのさ拾いに行く気も無いのかいがっくり肩を落としても誰かを怨めば自分も疵(きず)付くのさ晴れた空に小石を投げつけてみても無駄な事だよ天に唾するとはそう云う事だろ辛い時も判ってる生まれた時から何度か訪れるもの気に
星の視える夜はあの娘を右手に抱きしめ決まって朝まで呑んだくれてるのさなけなし果たいたら気楽になった気もするが明けたら寒さがちょっとだけ凍みるよ十五で目覚めたら高くも跳ねたくて背伸びをしてみたが大して変わらねえ地道にやるのが俺に似合いだよ少しは報われる時もあるのさはあ必要なだけのお金をくださいよおう馬車馬の様に働けよ直ぐに出来るだろ真夏の夕立も二人には楽しくてまるで子供の様に燥(はしゃ)いでいたもの
大きな荷物を抱えていたけど草疲(くたび)れた夢にゃ不似合いだったのさ今まで暮らしてくれてありがとう空の薄墨が溶け出す前に行くよ未だ見ぬ重さに潰されそうだ怯えて気付けば空廻り天国の月 俺等にゃ未だ見えない小さな誤ち音も無く積もり残した轍(わだち)を埋め尽くしてしまう知らずに固めた飾りを払って賢(さか)しらを崇める陳腐な自分に御沙羅婆優しい音色に包まれてると喧騒も暫く嘘の様天国の月 光を感じてる五月の
人気の無い暁の街翳にひっそり佗む薄い影絵の君ゆらゆら揺れてる この身を憐れみ情けを見せつつ玩ぶんだろあんたも可哀想にね同じ穴の貉になるよゆらゆら ふらふら旋毛(つむじ)曲りの惨めな末路は何人の躰?時雨に幾重も群る益虫四方(あたり)を憚(はばか)り 欠伸(あくび)を咬み殺している今夜も淋しそうだね直ぐ空に戻って行くよゆらゆら ふらふら彷徨う二人は煙草のけむりさ霞んで消えた
兎角こうまで変わった世の中じっとしてればいいもの泳ぎ切るのも何だか妙にぎこちない気がするのさ歩を進める度に失ってくくだらない過去の代わりに様々な思惑の渦の中俺も巻き込まれたくて近道ばかり探っては襄(ふくろ)小路だけあんたも俺の傍から煙の様に消えちまってるのは何故だバイバイ散々玩ばれた挙句覚束(おぼつか)ない足取りで階段転げ落ちても下で支えてくれる人も無い仕方無いだろ濡(そぼ)降る雨に立ち尽した老体