駄々をこねて 眠る前
話してもらった 物語
同い年のクマと一緒に
夢と部屋の隙間 さまよっていた
あと少し このまま
おやすみから逃げられればいいのに
君は何も変わらなくていいよ
何もくれなくたってそばにいるよと
撫でてくれた温度は橙の電球と共に
ぼんやりと消えて残っている
初めてもらった宝物だよ
布団の中 秘密基地
作り上げた絵本のキャラクター
あなたにただ会わせたくて
探して 三輪車 どこまでだって
帰りのチャイムも
夢中に駆ける耳には届かなかった ああ
君は何も覚えていなくていいよ
楽しいことが待っているからと
覚えているよ 寂しそうにつぶやく
あなたをいつもの笑顔にしたくて
初めて 交わした あの指切りを
黄昏月 昇る河川敷
やぶれた夢に溢れた涙
叱ることもしないで
繋いでくれた手に何も言えなかった
大丈夫 ちゃんと覚えているから
変わってしまったこともそりゃあるけれど
同い年、クマも言えなかった想いも
古びてくたびれても しまってあるよ
初めてもらった 宝物だよ
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