「見渡す限り恋の色をしているね」
とはにかむ
いつのまにかそんなことも
思い出の一つになって
「そんな人もいたね」なんて
いつか言われてしまうのか
嘘だったかの様に忘れられていく
履き慣れていないパンプスで
長い髪を後ろにまとめて
シワのない綺麗なシャツを身に纏っている
目が眩むほどの光へ
僕が知らない方へ向かって
歩き出してしまう君は
新しくなった日々に似合わない
僕のことはもう忘れて
抱きしめていた思いは独りでに
暖かい風に攫われる
僕に無いものを持っている所に
惹かれたことを思い出したんだ
一歩踏み出す姿をみて思った
春は憂いだ
久しぶりに会った君の髪は短く切られていて
「もうアナタのものじゃないのよ」
って言われてる気がして嫌だった
咲き誇る公園の木々の花びらヒラリ
ひとりすれ違ってる行き場を失ってる
何処かへいってしまいそうな
遠くをみる瞳に映らない
知らないうちに過去の人になってゆく
履き尽くしたボロいスニーカー
選んでくれたバッグ背負って
しわくちゃな泣きっ面を下げている
目が眩むほどの光に
足がすくんで止まったままで
歩き出してしまう君の手を離す
新しくなった日々に似合わない
僕のことはもう忘れて
抱きしめていた思いは独りでに
暖かい風に攫われる
二度とは戻れないまだ踏み出せない
いつも通りの僕の隣で
一歩踏み出す姿をみて思った
春は綺麗だ
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