MONO NO AWARE

女子高生 – MONO NO AWARE

自転車のサドルとペダルを結ぶ足
黒髪なびかせ白肌さらして
河原に寝ころび髪からまる芝
流れるラジカセ繋いだイヤホンを抜いて

また耳に挿すまでの間聞こえる電車の音の中
吊り革つかむ袖をまくり上げた二の腕に飛んだ
墨汁洗い流してチャイム鳴るまでには戻ろうと
少し歩幅広げて廊下で揺れた

スカートの中を見たくて
風よ吹けと祈り捧げた春の日は
意地悪く凪いでいて

雨傘貸してあげたくて
放課後の下駄箱で待つ夏の日は
笑えるほど晴れてた

水まき済ませたグラウンドの匂いと
ジャージの裾からはみ出る匂いが混ざり合い夜が来る
わたあめの匂いの浴衣に着替えて
赤青黄緑の花火が上がっては落ちてくプールサイドに

敷かれた砂を踏んで歩く茶色のローファーの中の音
ガサガサ言うな 気づかれずに踏まれたラブレター
書いた人は顔色一つ変えないままどこかを歩いてて
人ごみに紛れてる人たちが行く

廊下ですれ違いたくて
トイレに入っては出てきた秋の日は
どうやら行き違いで

マフラー貸してあげたくて
放課後の下駄箱で待つ冬の日は
風邪引いて休んでた

青い春を駆け抜けたとか
君のケツはまだ青いなあとか
若さは青で塗りつぶされてしまうけど

あの日この胸に飛び込んできた
景色匂い手ざわりまで全部
青一色ではとても表せなかっただろう

大人は僕の過去を塗りつぶすよ
僕はその上から描き直すよ
あの日の気持ちは忘れないよ

でも

スカートの中を初めて
見た日はあっけなかった
なぜ見たいのかさえ忘れてた

スカートの中は暗くて
眩しくてよく見れなくて
色々な色のどれでもなかった

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