MARIA

ハルガレ – MARiA

花冷えた心 微睡む車窓
西明かりに 揺れている慕情

席の向こう 君の肩に
凭れる 違う人

栞を綴じた胸に 消えない人
然して今は 知らない人

髪の色も 弾む声も
知らない彩に 染まっていく

嗚呼、独りで恨んでいる
忘れていく君を

嗚呼、独りで想っている
終わった春の日を

晴れやかに 燻んだ空に
並んだいつかの 平行線

結んだ距離が すかした声が
また 弾ける

腫れた目 浮かんだ涙
綴った恋が 鳴らした景色の残響は

まだ「さよなら」に 焦がれている色
青い、春枯れの鮮やかな色

もう 名残り雪も
跡もなく 花を濯ぎ

夏の匂いを 蕾んでいく
目もくれず 目もくれず

置き去りの 恋心も
淡い雪の 融ける様に

水に 流して欲しかった
人知れず 人知れず

また、答えに迷っている
解りきっていても

嗚呼、独り継ぎ接いでいる
止まった春の日を

花曇り 連れない空に
飛ばした いつかの放物線

消さないでいた 幼い影すら
遠ざかる

黄昏 照らした夜空を
吸い込んだまま
花焼けていた 感傷は

まだ「さよなら」も
初めてのこと

晴れやかに 燻んだ空に
浮かんだ笑顔は 幻想で

もどかしさが 滲んだ目から
零れ落ちる

遥彼 染まった頬に
触った手から
伝った 季節の残響が

また、咲き始める

君と並んで見ていた 紅空に
並んだいつかの 平行線

結んだ距離が すかした声が
また弾ける

腫れた目 浮かんだ涙
綴った恋が 濡らした景色の残響は

もう「さよなら」の 次の日の色
藍い、春枯れの鮮やかな色

知らない花が咲いている
また季節が 芽吹いている

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