夏のまぼろし。あの頃よりも僕は強くなれてるかな。 午後の在来線は席もまばらに空いていて、燻んだ日除けから漏れた光が影を作る。 ひとつに束ねた髪と真っ白なスニーカー。部活帰りの笑い声、響いてる。 夏のまぼろし。あの頃のように僕は上手く笑えてるかな。 夏のまぼろし。あの頃よりも僕は強くなれてるかな。 駅に着くと辺りはもう薄暗くなっていて、今年もまた夏が 夏が終わることを知った。 汚れた水溜まりが映した燈(ともしび
春を探しに出かけようか。寒くて長い冬にさよなら。 雪解けの凛とした朝の陽射し。眩しくって しかめ面の君。 春を探しに出かけたとき、生命の息吹を見つけたんだよ。 思いがけず二人 笑顔になって、生きていることの意味を知る。 遠い遠い空に風が吹いた。僕らが住んでる町にも。 冬の中に迷い込んだ、そんな時は思い出すんだ。 雪はやがて解けることを、そしてこの春の日のこと。二人で。 君と出会った春が終わり、思い出づくりの夏も
送信ボタンを押す手は震えていた。独りきりになりたくなくて。 スマホの中に作られたその世界で、生きてく強さ探してた。 いつも部屋に引きこもって、窓から見てた同じ星空。 流星のダイアリー、僕らが生きた証し。蒼い闇の中、遭難してた。 何も見えない夜も、うずくまってた朝も、乗り越えたらいつかあの星になれるかな。 メッセージが届く度に不安になって、一喜一憂して過ごした夜は。 生きてる意味なんてないと言ってみたり、本当の
もっともっと遠く、もっともっと遠く手を伸ばして探してた。十七の目眩く(めくるめく)季節の中で。 強い人だと思い込んでた君が、不意に見せたその涙には。どんな理由があるか分からないけど、これからもずっと傍にいるよ。 “ガンバレ” と君に言いかけて、立ち止まった帰り道。涙色の空と傘模様。 もっともっと遠く、もっともっと遠く手を伸ばして探してた。かけがえのない日々の中。 青い春のようなキラキラとした今日を愛すれば
錆びついたバスに揺られながら、年の瀬が迫る町を眺めてた。 痛みまで時が解決して、やがて記憶から消えてくとしても。 寂しさや希望、不安も全部。この場所にはその全てがあった。 どうしようもない僕らをいつも、肯定してくれた。厳しさとともに。 ため息は白くなって冬空に消えてった。失うことの怖さやリアリティもないくらい。 夢は形を失くしたまま、ずっとこの胸の中にあるだろう。 さよならさえも上手く言えずに、終わりかけた思
楽しかった夏が終わり、寂しかった秋が過ぎてく。冬になれば春を待って、僕らはただ今日も生きてる。 誰もいない無人駅。乗り捨てられた自転車は、泣いてるように見えた。 そうさ、僕らはみんな生きてる。生きてるから夢を見る。夢見るから傷ついたりもするけど。 傷つくことがあるから、強くなろうともする。そんなことを繰り返して、僕らはみんな生きてる。 眩しい陽に手をかざして、暗闇など見ないふりした。昨日のような明日を待っ
弓道部だろうか。大きな弓を抱えた、少女たちの姿を夏が写すシルエット。 青より蒼き、晩夏の空色。 田圃に囲まれた住宅地を抜けると、臙脂色のアパートが遠くに見えて来る。 ポニーテールの髪が揺れていた、あの夏のままの君がそこにいる気がした。 陽射しが和らぎ 涼しくなる頃、通り雨と遠雷の音。 網戸からそよぐ 生ぬるい風が、僕の頬を撫でた。 秋の足音 聞こえ始めても、あの夏のままの僕らそこにいる気がした。 悲しみの数を 
教室での話題は 今日も誰かの悪口。誰も信じれなくなった 少女は髪を赤くした。 自分まもることに必死だった。彼女のその反抗は 周囲を驚かせた。 赤い髪の少女は ひとりぼっちになったけど、目の前にまだ知らない世界が 広がってることに気付く。 上手くやろうとしても 上手くいかないのなら、どうせ真っ直ぐ歩けないこの道、遠まわりしたから見える 景色もある。 この赤色の髪は 私の正義の証し。そう言い聞かせながら 何と
約束をするのが好きじゃないのは、約束をしないと会えないのは嫌だから。 写真を撮るのが好きじゃないのは、思い出はこの胸の中にあるから。 “親友” という曖昧な言葉が嫌いだ。言わなくても分かりあえる。そんな感じがいい。 なんとなく過ぎてゆく夏のはじっこで、僕ら ずっと笑っていられたらいいな。 下手くそな歌を歌いあった、何気ないこんな日を大切にしたくて。 ありふれてるメロディを何度も紡いで、どこにもない歌に変える
何がいけなかったのかな、自問自答を繰り返して。ふたり聴いてたこの歌を 君はひとりで聴いている。 あたたかい日がずっと続いてたから、“東京の桜は散り始めてる” とニュースで言ってた。 去年と同じような桜の木の下で、君はひとりきり涙をこらえて。さよならの意味さえ 分からないまんまで、季節だけがそっと過ぎた。 春めく桜公園は 家族連れで賑わっている。 穏やかな陽射しに包まれながら、その胸の痛みは ふたり過ごした
瞬きもできないほど儚く 通り過ぎてく日々を、僕らは光の中に閉じ込めた。そんな気がした。 何か描こうとして 何も描けなかった。真っ白で、でもどこか透明な白色。 何も描けなくても 何か描こうとした。色褪せることのない青春グラフィティ。 靄がかる朝霧の中、地図にない場所 目指した。ありふれた毎日が嫌いだった。 瞬きもできないほど儚く 通り過ぎてく日々を、僕らは光の中に閉じ込めた。 青春が今終わりを告げても 後悔な
人波に押されて見上げた花火とか、赤すぎるりんご飴のこととか。 高すぎて買わなかった綿菓子とか、金魚掬いがなくなったこととか。 手のひらの温もり、淡い浴衣の色。喧騒を背にした駅までの帰り道。 あの夏の夜は今でも僕の中にある。宵待ち花火と幼き恋へのあこがれ。 あの夏のように儚く消えてしまいそうな、青いサイダーの味。 花火が終わって見上げた夜空とか、初めて手をつないだこととか。 火薬の匂いとか、寂しさとか。確かに僕
願いかけた鐘の音が 響き渡るこの場所で、揺るぎない想い 真っ直ぐ届きますように。 目を閉じれば ほら 二人だけの世界。笑顔の君に手を引かれて 少しだけうつむいて。 私だけの君になってと 何度も何度も唱えた、壁の向こうの君に。 願いかけた未来へと 動き出すよ 時計の針。誰も知らない君を 私だけに見せて。ひらひらひらり舞い散る 花が二人を鮮やかに彩る。 笑われたって平気、そんなの関係ないの。自分の気持ちに嘘は
約束しよう、未来の君と。 遠く響く足音。近付く度にまた 速くなる鼓動。相変わらずな君の 無邪気な笑顔が 僕をかき乱して。 心に隠した あたたかな想い。君に触れられて、ほら また少し色付いた。 誰かを愛せるかなんて こんな僕には分からないけど、もう手を離さない。高鳴るこの気持ちだけは きっと間違いなんかじゃない。ねぇ 今、ここで 約束しよう。 下手くそな優しさが 伝わらない今日も ため息こぼして。相変わらず
町の片すみで錆びれかけた市民プールとプラネタリウム。夏草の路地裏 踏切を渡れば、ざわめき聞こえる駐車場。 天の川銀河の物語、アインシュタインの時空理論。アルタイルの光、夏の大三角。うとうとしながら眺めていた。 プラネタリウムで見てた星空に、願いをかけていたあの頃。本当の流れ星が見たいとせがんではいつも母を困らせていた。 偽物の星たちのその光が優しく僕に降り注いだ。夢中で見ていた星のパンフレット、何かを探
色褪せたスコアボードと七月の通り雨。凛とした入道雲はいつもより白かった。 飲み干した水筒、こだました歓声、止まったままの夏の日。君は今も夢の続き追いかけてる。 あの金網の向こう側に見つけた“夏の在りか”を、時が過ぎていつの日か“青春”というのならば、その時 僕らはもう少し大人になれているのかな?夏空に消えた校歌斉唱、君の名前 呼んでいた。 着崩したユニフォームとつば折りの野球帽。昏れなずむグラウンドには
突然の夕立ちが 夏の始まり告げた。 何度目の夏だろう。蒼い陽射し 伸びた影を僕ら見てた。僕ら見てた。 君の残像だけが 遠い空に消えていった。 未来だけを見つめてた僕らが迎えた記念日には、スーベニールの花束に彩られていた過去を思う。 さよならを繰り返し 積み重ねて、そんな風に僕ら生きる。僕ら生きる。 蒼色の唄たちが 夏の空に溶けていった。 君が好きな花の名を今では忘れてしまったけど、スーベニールの花束を抱えて僕
何気なく始まった僕らの旅 かたちを変えて、人から見たらゆっくりだけど止まらずに進んで来たんだ。 未来への戸惑いとゆずれない大切な何かを、両手いっぱい抱えたままで春色に染まってゆくけど。 キラキラしてる想い出たち、ひとつ残らず忘れぬように。この声がほら届く頃に僕らはまた歩き出すだろう。 たくさんの人たちに称賛される歌もいいけど、大事な人を救えるような そんな歌を歌ってゆきたい。 変わらずいたい、そう願うのは
さよなら。サヨナラ。さようなら。何回言葉にしてみても、さよならはやっぱり「さよなら」っていう言葉でしかなくて。 空に星がいない夜。君の忘れものたちが、心の中の何かを少しずつ変えてゆく気がしていたんだ… 君が教えてくれた優しさ、君と探し続けた強さも。君と見ていた小さな夢も、あの約束も。君が残した胸の痛みも、君と探した冬の星座も。星降る夜も… 好きだよ。ココロの片隅の想いを言葉にしてみたら、好きだよはやっぱ
四月の駅のホームは、出会いと別れの中、ひらひらと舞う桜が、この町をまた彩る。 日が暮れるとまだ寒く、夜の帳が僕らを包み込んだ。 そう、出逢いと別れ繰り返して、僕らは大人になってゆく。あぁ、桜舞う日の四月の空を見上げて、君は何を思うだろうか? 別れのその先には 出会いがあるのならば、出会いの先にもまた、さよならがあるのだろう。 それでもまた僕らは、桜の唄を歌い続けるんだ。 そう、僕がいたこと。君がいたこと。素
少女たちの終わらない夜 大人たちの言う“くだらないもの”に、少女たちの終わらない夜 心を奪われることもある。 卒業したら何かが変わると思っていたけど、大人たちの言う“大人”には、なれそうもない気がした… 不安や孤独 隠して、みんなではしゃいでた夜は、ほら“これからの未来のこと”おおげさに話したよね。 不安でいっぱい押しつけられて来たけど、未来に怯えてちゃ、何も出来ないよ。 少女たちの終わらない夜 大人たち
終わりのないイジメのこと。友達がいないこと。美術室で描いた絵には、いろんな色があった。 ひとり孤独で暗い日々の中で声にならないけど、僕らの明日を繋ぐのは、生きてゆくこと。ねえ、そうだろ? 人は綺麗な色と汚い色たちで出来ている。そう、カラフルでもかまわないよ。だから、また歩き出そう。 初めて知る友の優しさ、溢れ出してた涙。嫌いだった親の愛情、気付けずにいた僕ら。 ひとり閉ざされた世界で過ごした“思春期の不思
夢は夢のまま それでいいって、君はいつも笑ってた… とても小さく 壊れやすくって、失くしてしまいそうになる。探し続けて 迷い続けて、でも誰かに聞いて欲しくて。 あの日 手からこぼれ落ちた、ハッカドロップ砕け散った。僕ら見てた その夢の白さに似ている。 傷つくことを恐れていた カタチを変えたその未来に、僕らはほら、今 立ってる。大切にそっとしまい込んだ 思いはきっとこれからも、忘れないから… 遠い夏の空 こ
階段に響く足音。教室から見える景色。当たり前のことが、特別に変わってゆく。 いつもの中庭で、泣いたり 笑いあったこと。あの ぬくもりに いつまでも触れていたい。 何も欲しくはないから、過ごした時間だけを 胸に抱いて、今、新しい物語のページをめくるよ。 遠く遠く今も感じる。笑い声も歌う声もあの日のまま、この胸に響いている。 ひどいことを言ったり、どうしても素直になれなくて、大好きな君に、つい、ムキになっちゃ
手のひらで転がすペンは、想いを描くものだった。白く覆う校庭の雪は、僕の夢をも隠していた。 諦めたくはないと窓辺で突っ伏して、教室に響く声はあまりに無邪気で楽しそうだった。 パラパラ降る雪、映り込んだ。ポロポロ落ちる涙の意味を溶かして消した。パラパラ崩れる僕の夢は、ボロボロになった僕のノートに書き残してく。 何枚も重ねた紙は、僕の世界を表した。夢に見てた未来の僕は、夢を捨てていたみたいだ。 諦めたくはないと
あの夏 僕らは、真夜中の神社で耳を澄ましながら、遠くで鳴り響く雷を見ていた。ただ、ずっと見ていた。 幼き日、手を引かれて歩いた祭り路。手筒の花火と綿菓子。 僕ら過ごしたあの夏、遠い記憶の彼方今でも。あの日の面影残したまま、君は大人になってたんだ。僕を残して… あの夏 僕らは、夕闇の神社で薄暗くなるまで、二人で作った秘密基地探した。ただ、ずっと探した。 幼き日、身を潜めて隠れた社の中。神様蜻蛉が揺れてた。 鳴
大事な物にはカタチがないと言うけれど、どうしてこんなにカタチがあるのだろう。 いつまでも見つからない物を探し続けて、泣いていた ひとりの夜。でも“音楽”だけはいつもそばにあった。 いま世界中の悲しみ集めて、僕らだけの歌 奏でてゆくなら、例えこのすべてが 消えてしまいそうでも、僕ら生きていた証 確かにココにあること、歌うよ。 愛とか夢とか… そうゆう歌じゃなくて、あの日の僕らの心に響いた歌。 わかりあうこと