HARCO

雨音に閉ざされて – HARCO

雨音に閉ざされ 僕は目を覚まさない
読み終えたばかりの本の中で眠っている

雨粒の重さに蝙蝠が息を切らす
サヨナラも告げず落ちて行く 湖の底へ

どこにもいけない 外は雨降りさ
魚になった夢を見て眠っていた
粗目硝子の水面を抜けて 高く高く 飛び跳ねた

地球儀をまわせば今日はどこも雨降りさ
世界の子供達 本の中で眠っている

雨音のリズムに突き動かされるように
靴箱を広げ 飛び出した 雨雲の下へ

行き先知らぬ バスに乗り込んで
遠くまで揺られながら眠っていた
冷たく湿った窓に頬寄せて 僕はまた魚になる

雨音に閉ざされ 僕は目を覚まさない
読み終えたばかりの本の中で眠っている

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