空積まれた あの 雲の味は
きっと 甘くて 切ない
そう サイダーに似ている
「今年の夏 やり残すときっと
来年の夏もやり残す」なんてさ
目を開けた私の前には
陽炎が、去年と変わらない風景が、 あるのに
街ごと一人飲んでた透明なサイダーに透かして
くまなく見渡していても
そんなあいつだけがどこにもいなくて
雲より高く昇る泡と浮いた
でももう届かないんだね 君に
「溶け出した誰かの涙の分だけ
近くなった気がした」 なんてね
わかってるよでも
まだ 君が私を呼んでいる気がして
そして振り向いてしまう瞬間に
不意に、風に吹かれたら
自分の長い髪で何も見えない
見えないんだ
帰りの道に
揺れる陽炎
君の笑顔
あ、アスファルトと雨と
焼けた匂い
受け止めるべきだ
いつか、当たり前になることを。
傘忘れる必要もない
長い髪にしている必要もない
辛いだけなら
こんな髪なんて切ってしまって
記憶 踊る サイダーの泡と音
辛い時思い出してって
その虹を透かしてみせた 君と目があう
短くなった髪の隙間から
見える 君といた夏が教えてくれたこと
いつか全て終わり過去に変わるとしても
あたし そうずっと
鮮やかな凪いだ夏の一景
「通る夕立はすぐ止む」って
笑っていたことさえも忘れてないよ。
二人のくだらない秘密だった
あたしときみだけの虹色サイダー
一人翳してた
これから 笑うから
あなたの様に
この灼熱の季節で
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