どんな風景その目に映した 星が灯った最後の瞬き諦観、それも今となりゃ野暮か 夜は暗い 誰も明かりを持たねば誰も知らない 名付けられない 僕らの火花が 少し照らしたのは干からびた土 焦げた瓦礫 確かに笑った君の日々境界線の向こう側で 忘れさられ終わる定め そう知りながら屈服することを許さぬあの声は かつての戦友か 己の心か存在意義はいつだって自分以外 例えば君 その声だけ届く距離ならば 微かに灯る火
世界中どこでも暮れる ありふれた夕日が 特別になったのは僕らの育った町 知ってしまったから ここはかつて焼け落ちた町笑えよ 泣けよ歌えよ 言葉は下らない 未来には届かない僕らが頭を抱える 人生という旅路は帰り道 死ぬまでの毛布に包まって 静寂の音に震え花芽吹いて森が茂って 人が増えて集落となってそれを戦火が全部さらって それに泣いてまた立ち上がって人が集えばそこが町で いい人、悪い人もはらんでいが
初めの一歩はいつも恐ろしい 空白は見渡す限り昔は空っぽに思えた だから怖くて塗りつぶした逆恨みや愚痴にはじまり 「それでも」ってとこに至った強迫観念に似ていた 没頭が坂を転がったいざ行かんと始める決意 旅路の身支度と同義終わらせる覚悟、梱包し スーツケース詰め込む行為しんとした部屋が名残惜しい 静寂の全てを所有しシンクでは弾けた水滴 その程度が僕らの汽笛終わることなんか知らなかった もう取り戻せな
電車に乗り クラスメイトに使い古しの挨拶鈍行的な会話には いつも運転手はいない始まりにはいつも 溜息が出ちゃうな始業式や朝礼や 今日一日の目覚めとかここじゃない気がしてる でも理由は分からない憂鬱ってのは知ってる でも漢字じゃ書けない馴染めない訳じゃないから 始末に負えないテニスコートの夕暮れ 寄る辺ないサッカーボール少年は闇の中 金属バットやカッター ナイフとかハサミでは切り裂けない夜がある将来
あれから色々あったけど こちらは変わらずにいます いつも手紙感謝します少なくともあなたは1です 僕にとってあなたは1です窓越し木々からまだらな陽光 季節はほとほとせっかちで酷く焦ってしまうもので時間は平等と言いますが 平等ほど残酷なものはないですね世界に望み託す人には 世界は薄情に見えるものですどうだっていいかほんとのとこ後悔ばっかりで 今日も眠れない夜が来て悔やんでも悔やみきれず 成仏できない想
放課後チャリでにけつライブハウス たくやのムスタングは水色どんな未来を迎えようとも 恐れるに足りぬ 青さが血走るMarshallとOrangeツインギター 道違えど出所は同じトラブったら入力から辿れ 最初に言われた 間違いなかった国道から脇道に入り 陽も届かぬ路地に世間知らずがたむろすれば 世間知らずが世間だったあっち行ってこっち行っても 君はもうきっと大丈夫どっから来たかの話じゃなく 何処へ向か
背中が透けて見えるぜ 非実在のテレプラズム半死半生の体躯を 歩かせるのはなんだったっけ?拒絶を繰り返し 傷ついて ふんだくられてたまらず自分を呪えば 深い闇も連れとなった「誰のせい」とか 「何処で間違った」とか決意が廃るぜ 選んだのは僕だ現世に惑う 不徳に踊る 泣き叫んだ声なき声救うんじゃなく 元に戻すんだ僕がねえ これ努努、忘るるなかれ 胸翳る常闇にこそきっかけ、引き金 いっそ眩しく世界を焼く火
満たされなさに名前を付けたら 図らずとも幸福と呼ばれた主義主張 躁鬱シャーマニズム 段ボールハウス居住サルトル路線バス 錆びた車体 経年劣化する思考 欲情の二乗麦藁帽子を掛けた軽トラ 初月無料 女子アナ プラウトアダプテッド立ち食い蕎麦 神降ろしにて食し ウインドウズ 便箋 世は情け過大評価 過小評価 キルユー 宙ぶらりん 文庫 シティーライト出会いと別れ切符切りそびれ ホスピス横たわり終末医療患
とにもかくにも僕らの日常は奪われた描いた未来ひび割れた その破片がこれだ八つ当たりの罵倒やいらつき、自己嫌悪の里親疑心暗鬼にとって心の陰こそがまほろば天気予報ばかり気にして うつむき加減スマホで今日も今日とて薄雲に太陽は朧げ日照不足、長雨の令和二年、夏のわだかまり綴る歌詞にも何故か湿っぽさが間借り持ち合わせてるつもり人の為に痛める心だけどもう噂話に配る余裕はない同情人の知りたいって欲望は果てしない
群生するススキが 気が狂ったように手招きしてる日差しは赤味がかり 夏では写せないものを露わにするそれは そろそろ訪れる 太陽の羽化状態としての生をボンネットに縫い付けて身体を輸送する僕は 誰かが描いた白線に沿って風景にこびりついた憂鬱 とたんに思い出が痙攣する砂漠に埋まった貝殻で指を切る今日も来る 暗色の悲しい兆しついに訪れる 太陽の羽化だけど 片方だけ 翅はなかった季節ならさっき出て行ったつまら
ああ 全て見ないように 世界の隅々に落ちている憂鬱や悲しみが あなたのものではないように明日が音も立てずに 東の海から巡り巡って また消えて夢を見るんだ ただそれだけだ冷め冷めと笑う東京の 影に立って歌ったらあなたには見えないものが 僕らには見えてきたよ忘れてはいけないことと 忘れなくてはいけないことをあなたと分け合って 辛いとも言えずに僕は消えた空には星もないのに それすら気付かず笑う 笑ってま
息の仕方思い出したよ あなたは今も優しい顔で笑っていますか 笑っていますか時が過ぎて遠くへ来たな振り返るばかりじゃ いられないけど光が射し込んだ この部屋の片隅で分かり合えたこと 幾つも無いんだけどそれでもそれらを 高く重ねようともがく僕等 積み木で遊ぶ子供みたいに何があっても負けないように 最期に僕等笑っていられたらそれでいいんだよ それでいいんだよ少し上手く行かなかっただけ僕等はそれにただ泣い
俯瞰で見れば 世の理のような色彩当事者となり 凝視すれば粗悪な落書きありえないことが何度起こった 君が生きている間にその度目を伏せて 無かったことにした 今や忘れた悲劇も喜劇も 同じ容量数メガ単位のBGM 聞きながら 命からがら壊れた世界泣きついて やっぱ僕らにはなかった人の才能も そんな世界の解像度今日も残酷の過密かき分け やるべきことに疲弊して残す生きていた証拠 合わせる世界の解像度君の視点
旅支度終え 誰か呼ぶ声情熱からおよそ遠い情熱今日ならば晴れ 風はしわがれ旅立つことない旅立ちの日君の鼻歌 今日ばかりは この町のBGMみたい頼りなさげなマスク越しとげられぬ夢 やむを得ぬ故恨めしく睨む空 令和二年封切りの映画 新譜のツアー中止の入学式 令和二年焦りと暇を持て遊ぶ歌物理的でないからこそ痛む悲しくないね 楽しくないぜ感情は軒先で行き倒れ歩道でキャッチボール 子供らの笑顔と不均衡こんな時
今日が壊れて もう、お開きの時間だ散らかった部屋を出て デッキで最後の一杯君はまだ若い風を シャツの裾に飼っていて朝がやがて来るはずの 地平線をそっと撫でる馬鹿騒ぎはもう終わりラグの模様が変わってら ピザソースとビールで時に汚した人生は 書き直したことにしてふしだらな政治家に 怒るのは分かるけどワイン瓶で割ったテレビ 弁償はしてもらうぜ馬鹿騒ぎはもう終わり時に自分を失った気になるよ 抗うつ剤や手の
この世界は少し煩すぎるから カーテンを全部閉め切ったよ結露した窓を擦って覗くように 恐る恐る世界を窺ってた忙しい日々がやがて土砂となり それに憧れは埋没して気付いた時には もうすでに手遅れで 息もできぬまま数年が経ってた諦めの萌え木 レジスターの奴隷 心が腐らないように冷凍する必要があった弁当をレンジで温めながら 心溶かしてくれ 心溶かしてくれ表情すら隠す癖に 分かってほしいだなんて後ろめたくて当たり前 夜勤明け光る朝焼けこんな一日の終わりに不釣り合いまだ何も成してない 僕の今日を照らさないで頭ん中が少し煩すぎるから 喜怒哀楽を全部殺したようざい客の怒鳴り声も遠く響く その分ビールの本数も増えたけれど飲み屋で同級生の自慢話には 相槌打って愛想よくくだらねえと唾を吐く心の声に 一番くだらないのは僕だと青ざめる昔描いてた 将来や夢は 最低賃金で売り払ったこっから歩む一歩の価値もたかが知れてる どうせ底値なら 心躍る方へ せめて望む方へ言いたい事言わぬ癖に 分かってほしいだなんて無視されたって当たり前 東京に取り残されて僕が居なくたって回ってく世界まだどこにも行けない 僕の今日を無視しないで僕は今日もマスクをして家を出る 口煩い東京から身を隠す為言えない事を言わなかった事にする為やれない事をやらなかった事にする為そしたら僕の声も失くしてた 自分にさえ本音隠すようになってた本当は飛び出したい癖に 僕なんかじゃ無理だなんて「そんなことはないよ」だって 誰も言ってくれるわけねえそんな一日を幾つ殺して 僕は今最低に立ってる僕の始まりには似合ってる居ても立っても居られずに 家とは逆の方向へ後ろめたささえ晴々 同じようで違う朝焼け理想叶える為犠牲になってくれ 最低な幕開けこの始まりを照らしてくれ
法律を破りたい いい人なんか報われないホールデンとかディーン・モリアーティ 車を盗んで逃げ出したい所詮僕など俗物だ でもそれに居直るような物質の奴隷はごめんだ 命の喜びは裏切れない悲しみだって喜びさ 何もそれは現実逃避じゃなく震えるこの身の震源地が 恐れの向こうで脈動するから死んでるみたいに眠ってる 泥を掴む度汚れてく耳をそばだて聴いてみる 寝息は未来の匂いがする精神的にまいっちゃった 原っぱ寝そべって休みたいそいつを僕は罵った もっと働けと罵った断固として過去は否定したい 青春は安寧との闘争だ新しい歌を歌いたい ラジカセで聴いたフォーエバーヤング死んでるみたいに眠ってる 悲しみの眉間を撃ち抜く枕元には修羅が立つ 涙を流して怒ってる間違ってることは支持できない それは根本的な尊厳だ野垂れ死ぬなら本望だ 僕のまま僕を終えるなら死んでるみたいに眠ってる 誰かが遠くで手を振ってる僕はそれを無視してる 見えているけど無視してる死んでるみたいに眠ってる 泥を掴む度汚れてく耳をそばだて聴いてみる 寝息は未来の匂いがする
僕はあんまり出来た人間ではないから君が嫌になってしまうのも しょうがないと思ってるよきっと 人にとって大事なものなんてさ一人に一個だろ それが君だとは言い切れない僕さそんな歌を歌ってしまう僕を見ても 君は笑ってるぜそうだその笑顔を好きになったんだ嘘つき 泥棒 人殺し ねぇ神様 僕の神様は そうだ君の笑顔なんだ涙こらえて立ちつくす 人の背中をそっと押してやるどんな時だって優しい顔 そういう人になりたいぜ「めんどくせぇな」って頭掻いて 人のために汗をかいているそんで「何でもねぇよ」って笑う そういう人になりたいぜ確かな暖かい宝物積み上げたら幸せになれると 僕はそうずっと信じてきたけど結局僕はいつまでも 馬鹿野郎 僕の幸せは 君の幸せではないんだ自分らしさ見失わず 人の事もちゃんと思いやる人前で泣き言は言わないぜ そういう人になりたいぜ当たり前に心から笑えて 当たり前に日々を駆け抜けて当たり前に疲れて眠ってる そういう人になりたいぜそういう君が好きだから そういう君が好きだから君の気が狂っても待っている奴がいるぜ君の家が無くなっても帰る場所はあるぜ君を守る為世界を終わらせてもていいぜそこで僕は凍えて死んじまったっていいぜ夕焼け空が悲しいな 世界が終わりそうな色だから洗濯物は放っておこう 世界は明日も続くけれどさよならでも涙見せず いつもと変わらない その笑顔自分の事より人の心配 そういう人になりたいぜ「バイトはちゃんと続けなきゃ駄目よ。新しい部屋は決まったの?君は君の思う道を進んでね そういう君が好きだから」そういう人になりたいぜ そういう人になりたいぜ
アイデンティティが東京湾に浮かんでいる巡航する豪華客船のその波で 浮遊してる やがて沈む物珍しそうに 乗客は人だかり助けるべきか? いや、あんな得体のしれないものには触れるなあれはなんだ? あれはなんだ? あれはなんだ? あれはなんだ?受諾と拒絶 拒絶 拒絶 手は組めないぜ ただじゃ死なないぜ許可されて生きる 命ではないよ ああ私の私応答途絶 途絶 途絶 生きているなら声を聞かせて徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩 ああ詠い続けて何が善で何が悪か 白と黒分かり合えずいがみ合って灰色が割って入ってお互いを認め合うべきだと 懐から取り出す共感を見て いや、そんな危険かもしれないものには頼れるかそれはなんだ? それはなんだ? それはなんだ? それはなんだ?受諾と拒絶 拒絶 拒絶 先生や医者 神様にでも変えること出来ない形と中身 ああ私の私応答途絶 途絶 途絶 生きているなら声を聞かせて徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩 ああ詠い続けて受諾と拒絶 拒絶 拒絶拒絶 拒絶 拒絶 拒絶不法投棄された千億の陰口焼却処分だ見栄も顕示欲も僕らは内側、静かな場所へ行こうそれなのに自分を無くせって 従えって 我慢しろって強い風に吹き飛ばされて落ちた 東京湾形と中身 私の私受諾と拒絶 拒絶 拒絶 冷笑や脅し圧力にさえ歪めること出来ない形と中身 ああ私の私応答途絶 途絶 途絶 生き抜いたなら顔をみせてよ徐々に蝕まれる暮らしの抒情詩 ああ詠い続けて
私が私を語るほどに 私から遠く離れてしまうのは何故でしょうか?身を投げた漆黒の太陽が 遺言のごとく焼き付けたひと夏の影絵はトイレの汚物入れの中で真っ赤に滲んで泣きじゃくるばかりです殴られた痣はすぐ消えてしまった いっそ消えずに一生残ればよかった誰かを憎む理由をこの身体に誇示して 全てを切り裂く免罪符となれ物心ついた私は白痴でキチガイであなたがそう呼ぶからそれにふさわしい人間になった「どこにでもいる真面目な子でした」「まさかあの子が」世間様の暇つぶしに辱められた自尊が良からぬ企みを身ごもるのも必然で言葉を殺した あれが死に損ないの言葉ゾンビ 『言葉を殺した』という言葉だけが残った 途方に暮れた十五歳の夏流れていった涙や後悔の時間に 今更しがみつくほどの未練は持ち合わせず過去の痛みが全て報われたわけじゃない 私の痛みは君の失望にこそ芽吹くこの物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物とのいかなる類似も必然の一致だ だが現実の方がよっぽど無慈悲だひぐらしの声 夕涼み 恋占いはフルスモークのハイエースに連れ去られた精霊は事件性にも宿るか 底なし沼の水面にたかる虻達の祈りか被虐者の呪いか愛されなかった分や 報われなかった分や人それぞれの身体に空いた無数の穴ぼこ埋め合わせる為に犠牲になった何かが差し詰め生涯悔やむことになる、むごたらしい致命傷通り魔や殉教者や死にたがりの志願者 結局のところ誰もが未来の加害者「まさかあの子が」と口走る前に顧みる私の過去の痛みはあの子の為にこそ使う「言葉にならない」気持ちは言葉にするべきだ「例えようのない」その状況こそ例えるべきだ「言葉もない」という言葉が何を伝えてんのか君自身の言葉で自身を定義するんだ流れていった涙や後悔の時間に 今更しがみつくほどの未練は持ち合わせず過去の痛みが全て報われたわけじゃない 私の痛みは君の失望にこそ芽吹くこの物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物とのいかなる類似も必然の一致だ だが現実の方がよっぽど無慈悲だ音楽や小説 映画とか漫画 テレビ ラジオ インターネット母が赤ん坊に語る言葉 友人との会話 傷つけられた言葉 嬉しくて嬉しくてたまらなかった言葉喜び 悲しみ 怒りだとか憎しみかつての絶望が残す死ぬまで消えない染みそれが綺麗な思い出まで浸食して汚すから思い出も言葉も消えてしまえばいいと思った 言葉は積み重なる 人間を形作る 私が私自身を説き伏せてきたように一行では無理でも十万行ならどうか一日では無理でも十年を経たならどうか奪われた言葉が やむにやまれぬ言葉が私自身が手を下し息絶えた言葉がこの先の行く末を決定づけるとするならその言葉を 再び私たちの手の中に奪われた言葉が やむにやまれぬ言葉が私自身が手を下し息絶えた言葉がこの先の行く末を決定づけるとするならその言葉を 再び私たちの手の中に再び私たちの手の中に今再び 私たちの手の中に言葉を取り戻せ
いい事なんかなかった街でも別れる時には寂しくなるんだな出掛けに見送り沈丁花友達よまたな 恋人よさらば夕立旅立ち 行く先に光懐かしい夢達 未だに覚めないし泣いたり凹んだり その度生き返り新しいあんたに 再び日は射し過ぎ去る家々を数えてその数の人生 その数の別れ僕はまた一つ賢くなる「あん時ああすれば」 それも過ぎ行く風景夕立旅立ち 行く先に光懐かしい夢達 未だに覚めないしあん時確かに 泣かないと誓い始まりの汽笛 別離の響き都会のせわしない暮らしにもしたたか風が吹く 田舎の風が吹くあんたの顔も忘れちまったそういう事にして 忘れた事にして夕立旅立ち 行く先に光懐かしい夢達 未だに覚めないし儚い見間違い 都会に影法師遠々しいあの街 仰ぎ見 幾年
稲穂が揺れる田舎の風は 置いてきぼりの季節の舌打ちか溜め息駅の待合室でうらぶれて 誰彼構わず 憂鬱にする 憂鬱にするどうせ出てくつもりなんだろ この町ではみんなそう決意は揺るがないか 迷いなどはないか故郷を捨てるつもりか 気に病むな、それでいい振り向くな 立ち止まるな花、そぞろ芽吹くとも、芽吹かざるとも幼い頃に遊んだ校舎の壁が ひび割れた分僕らも傷ついたガードレール ゴールポスト 漁港のはしけ この町は何もかも錆び付いて美しい思い出なんてあるものか 記憶の中じゃ泣いて挫けてばかりこの町が嫌いだとみんな言うが 早く出ていくんだと決まって言うが帰ってこいよ 何か成し遂げるとも、成し遂げずとも君のその愚直な心は 満員電車などに潰されたりはしないのだろうが額に汗 将来 野望 人間関係 地下鉄の路線図みたいにこんがらがって信頼出来る人が傍にいるならいい 愛する人ができたなら尚更いい孤独が悪い訳じゃない ただ人は脆いものだからすがるものは多い方がいい真っ黒な夜 真っ黒な夜でこそ思い出せ生まれた町を 今年も花が咲いたよ遠くで鳴る境内の祭り囃子 君が居なくたって夏は過ぎるけど知らせ無くとも 今か今かと 待ち人の面影に振り返り祭りの後、闇と静寂が落ちて 砂浜に花火と狂騒の残骸季節巡れど心は止まったまま 君が出てったあの時のまま帰ってこいよ 何か成し遂げるとも、成し遂げずとも菜の花畑の風車 コンビニも出来て 分校の校舎も建て替えられてあれから大分経った この町も様変わりしたよ勤め先は相変わらずないから 若い奴らはみんな出ていった昔よく遊んだあの公園も 今年取り壊されるってさ夢を叶えたって胸を張ろうが やっぱ駄目だったって恥じらおうが笑って会えるならそれでいい 偉くならなくたってそれでいいビルの谷間勇ましく歩く君が 陽に照らされた姿を想うのだ忙しくしてんならしょうがないか 納得できるまで好きにしろ帰ってこいよ 何か成し遂げるとも、成し遂げずとも
失望したって君が言う時 君は失望の彼女みたいだ夜明け前だ 血の気の引いた空 死人みたいな一日がまた来る君の瞳は拒絶していた 曖昧な受諾と定めと時間がくれるはずだったもの そのほとんどをおかしいのは自分以外 嫌いなくせに笑ってるパラノイア悲しい風には泣かない 悲しいなんて認めないねえ二度と泣かないように 君を脅す君にとどめを刺して僕と逃げよう 地の果てまで 追っ手は暗闇 明日無き逃亡「誰にだって辛いことはある」 そういうのは自分にだけ言って君の辛さを平凡にしたがる 人の無自覚が誰かの辛さになる青い国道をひた走って 逃げ切れるような気がした何かに追われてるような気分に追われてた鼓動が速い分だけ 人より速く進めると言い聞かせ苦しい顔で走らない 苦しいなんて認めないねえ二度と泣かないように 君を見くびる君にとどめを刺して僕と逃げよう 潔白ではいられなかった人生 呪いながら立ち寄ったダイナーで 君と僕の顔写真 指名手配のニュース「自分の気持ちを殺害したとされる男女二人が」「計画的逃亡」「服装を変えながら」「知人の元を転々と」ねえ カーラジオのボリュームを上げてねえ もっと上げて最高な気分なんだ 笑いが止まらないどこまでも行けそうだ どこまでも行けそうだねえ二度と泣かないように 君をいじめる君にとどめを刺して僕と逃げよう 命尽きるまで この世に恩義も義理もないさ急カーブ、猛スピード そりゃそうだこの結末は もちろん想像した曲がりきれぬ道を曲がろうとしたんだせめて最期は 笑っている為
応答せよ、応答せよ本日、7号線を南下する北風を見送った東北から押し黙る空を無数に漂流する、出口無きそれぞれの地獄たちへ「色々あったな」では済まされない、色々の一つ一つをあるいは、未だ得体のしれない、心に翳り続ける憂いの数々の出生をつまびらかにする為に 性懲りもなく相も変わらず ここに立って呼びかける応答せよ、応答せよミズーリを疾走する、若き太陽熱と無暗な排気量をもって人が生きるという巨大な山影に抵抗を試みる少年らは一つの苦悩につき、一つの窃盗を夜ごと働き世界への仇討ちが大儀であるかのような腹を決めた形相で小さな悪事をけち臭く積み上げた結果、多くの証明を反故にされた私たちはついには瞳を濁しその青い栄光と失敗にブックカバーを被せ雪が降る朝のプラットフォーム 出勤前の束の間の空白にかじかんだ手でページめくれば あらゆる行間に孤独が住み着いたのだ私の叙情も感傷も、果たせなかった拒絶である電波塔が貫く空も、下校する子供らの足取りも、果たせなかった拒絶であるカナリヤが鳴いているそれと同じように、私の拒絶は震えている応答せよ、応答せよ檻を蹴破れ 服役囚よ都市の路地 文字起こし 星殺し 拒否オロジー
宵の淵に腰掛け物思い 街は馴れ馴れしかった、当時でも、親しい顔すれば素通り 脆い思い出は溶けてしまった氷彼はキスした手首の傷に 朝日に素面の顔は気まずい目の下のクマは黒い三日月 温いシーツに香りの名残はずるい外と隔離した部屋で 飲み干す傷病手当現実に悪酔い どうせ咲かぬ蕾間引かれるなら どうか私からはしゃいだ分だけ寂しい 空虚に化粧ほどこし夕映えが最後に 頬を赤く染めてくれるそしたら綺麗と言って 良かったころの思い出口を塞いで黙らせて 今だけ見ろってア ア ア アルカホール フォールバスではいつも汗が酷い 焦る日ほど信号は黄色いミーティングで静寂に身じろぎ 動悸 他人はいつも私には遠いはみ出した者が泣く だからどうとかじゃなく諦めていい 理由には十分宛名ない速達で黒が来る幼い頃ママが言った「あなたは天使だ」ってだから天国をスリップして この部屋に落ちたすでに羽根もがれたけど 今さら飛ぶ気もないのだからなんだって言うの ただ一つ、ママごめんねア ア ア アルカホール フォール軽薄な喧騒と耳つんざく音楽 その波にさらわれて全部忘れたはずこんな夜の孤独とか いつかの綺麗なキスとか夜遊びの冬の匂いとか 笑ったはずの季節とか朝方打ち上げられて 顔を覆って泣いてる記憶の死骸達でアクセサリー作って「綺麗でしょ?」「綺麗でしょ?」ってずっと泣いてるあの子は誰だっけ?なんて私に聞かないで寂しい分だけはしゃいで 後ろめたさあしらえば無邪気な顔の夜が 全て匿ってくれるそしたら綺麗と言って こんな惨めな私を口を塞いで黙らせて 全部夢だってア ア ア アルカホール フォール
「色々あったな」の 色々の一つ一つをつまびらかにしたくて ペンを取ったわけですがもう君の好きにしてよ 僕も大概好きにしてきた僕の事は忘れて 他に行きたい場所があるんなら名誉ある潔い撤退より 泥にまみれ無様な前進を尻尾を振る称賛の歌より 革命の最中響く怒号をあの日の情熱の火はいずこ 悔しさを並べたプレイリストそぞろリピート音楽と風景 後悔、浄化する過去の巡礼まさかお前、生き別れたはずの 青臭い夢か?
憂鬱が風に散らばり 吹きだまって影になる僕らの足音は 無情を饒舌に諭す君の瞳の深さを 覗き見て狼狽える望みなどあったでしょうか この行く先にはおどけて笑うのは この道が暗いから明りを灯すのに 僕がいるでしょうさよならごっこは慣れたもんさ でも手を振ったら泣いちゃった僕らの真っ赤な悲しみが 暮れる 暮れる そして夜が来る当たり前にやってくる明日なら 「生きたい」なんて言わなかったよせばいいのに夢見て
僕らはいずれ錆び付いて ついには動かなくなる緩やかに終わりへの航路をたゆたう箱船に乗せられたある意味 標なき漂流者だ加速する日々は ついには減速する日々を迎え陽が沈んで黒ずんだ水平線と対峙する 暗夜行路に至ったのです打ち上げられた船乗りの靴 明星とデネボラの隙間 微かに光る六等星全ての人に忘れ去られる事が 終わる事だとしたらその時僕は既に終わっていたし それを寂しいとすら考えなかったただ静かに唸る
アイザック 1カートンのナーバス哀楽 セブンスの歩幅工業区 黒煙のキャンパスラングストン 一服のドラマ品川駅が咳き込むので 着飾った女性が背中をさすっていたうずくまった未明通りでは今日も犯人による犯人捜しが 憶測と出歯亀と有識者でぎゅうぎゅう詰めだ悪人のくせに悪人面する勇気すらない 恥知らずの悪人が吐いた道徳によく似たそれは 腐敗する妄想晩秋の訃報 猟銃の発砲初雪が未だ逃走 十二月の東北アイザック
ひるがえって誰しもが無罪ではいられぬ世にはびこって断罪をしあったって 白けてくるぜ愛が去って空いた穴 塞ぐための巨大な偶像は ここにはない少なくとも僕の部屋にはもっと生きてえ もう死にてえ そんなんを繰り返してきてリビングデッド リビングデッド 人生を無為に徘徊してもう無理って飛び降りて 我関せずって面でいいって背負わずに生きれるならそうしなって永遠なんてないくせに 永遠なんて言葉を作って無常さに