僕はまだ死ねない – 164

僕達が現世に産まれ落ちた
意味など無いのかもしれないが
意味が無いと僕はやりきれないから
大袈裟を承知で聞いておくれ

例えば揺れる満員電車の中
席に溢れたお年寄りの前で
先に誰かが譲って安堵する
僕はその程度の人間だから

子供の頃に見た背中はもっと遠くて
僕なんかじゃ届かないかもしれないけど

この小さな手が離れないように
君が悲しまないように
僕の全てを捧げても
この小さな未来を誰も傷つけないように
僕の命が尽きるまでは

僕達が現世に産まれ落ちた
意味など無いのかもしれないが
もしも意味があるのだとすれば
それだけで僕は涙がこぼれた

誰かのなんでもない今を唄う歌など
有り触れてるものなのかもしれないけど

日々過ぎてゆく時間の中で
移ろう季節の中で
これがその“意味”だとしても

この小さな手が離れないように
君が悲しまないように
僕の全てを捧げても
この小さな未来を誰も傷つけないように
僕の命が尽きるまでは