黒沼英之

だいじなこと – 黒沼英之

薄暗い空 朝が来る
少し残る苦い味
君の寝息を数えては
結局一度も目を閉じぬまま

昨日の夜 君は突然
思い出したように泣き出した
僕は優しい人になる

ねえ 僕はここにいるよ
君が抱きしめているのは僕じゃない
だけどそれはどうでもいい
だいじなことは
君がそばにいること

あの人はもうやめておけ
友達はそう口をそろえる
最後に傷つくのは僕だけど
悲しみに暮れるのも僕だけど

自分をごまかしているかなんて
気持ちに嘘をついているかなんて
僕が一番知っている

ねえ 僕はここにいるよ
君が想い馳せるのは僕じゃない
だけどそれはどうでもいい
だいじなことは
僕が君を想うこと

形ばかりのキスと
冷たい肌の温もりだけで
いつだって僕は優しい人になる

ねえ 僕はここにいるよ
君が抱きしめているのは僕じゃない
だけどそれはどうでもいいこと
だいじなことは
君がそばにいること

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