鴨田潤

空部屋 – 鴨田潤

何にもない
時間の余った空っぽの部屋に
まずはひとり
ようやく、夜中やってきた
明日の昼間
荷物が一式届くから
布団も枕も無しで今日は寝る事に気づいた
一人暮らしの初日が雑魚寝になるとは、と
首にかけていた白いタオル
枕変わりにして
明かりを消して
かたい床に寝そべりながら
期待と不安と疲れた頭で考えた

例えば
いつか誰かが遊び来たとして
泊まっていくなら何人くらい寝れるだろう

例えば
いつか恋人が遊び来たとして
泊まっていくならひとつの布団で寝れるだろう

何にもない
時間を戻した空っぽの部屋は
荷物が無いと意外と広く感じられた
明日からこの部屋も見ること無いから
携帯電話のカメラで写メを撮っていると
一人暮らしの初日は雑魚寝になったとか
思い出して
思い返して
新しい部屋に荷物が明日届くから
またもや、床で寝ると
いつまでたっても変わらぬ頭で部屋を出た

やがて
空っぽになったあの部屋も
いつか誰かが生活を持ち込むだろう

そして
明日から世話になる部屋も
空っぽのとこに生活を持ち込むだろう

そこに
いつか誰かが遊び来たとして
泊まっていくなら何人くらい寝れるだろう

あとは
やはり恋人が遊び来たとして
泊まっていくならひとつの布団で眠るだろう

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