馬場俊英

鴨川 – 馬場俊英

ふたりで鴨川に行こう
真夏の水辺に行こう
やさしかったあの夜の
川の流れを見に行こう

さよならは そこで言おう
あの橋をまた渡ろう

流れに身をまかせ
夜風に煽られて 向こう岸へ
石ころを放り投げ
ほとりで待ち合わせて
ふたりで橋を越えた

忘れ物は無いかと
夜風が胸を叩くたび

今なら戻れるって
最終に間に合うって
向こう岸へ帰ろうって
あの橋を渡り戻ろうって
でも僕らは止まらないで
踏切も緩めないで
合図も見逃して
走り出す 夜の街

ふたりで 鴨川に行こう
真夏の水辺に行こう
逢いたくて いつも苦しくて
こぼれた涙に漕ぎ出そう

もう一度 鴨川に行こう
僕らのあの街に戻ろう
僕を好きだったあの頃の
君にもう一度逢いたい

指先に身をまかせ
くちびるに煽られて 君の中へ
気づかないふりをして
気にしない顔をして
ふたりではしゃぐ夜明け

不意に鳴る電話にまた
僕らは潰れそうになる

君だけが好きだって
いつまでも離さないって
何もかもを捨てるって
ただ僕だけを見て欲しいって
でも本当は怖くって
この愛から逃げたくって
君のことを疑って
色褪せる 夜の街

ふたりで鴨川に行こう

さよならは そこで言おう
あの橋をまた渡ろう
悲しいよって 苦しいよって
君にそう言えば良かった

もう一度 鴨川に行こう
僕らのあの街に帰ろう
やさしかったあの夜の
川の流れを見に行こう

大好きだったあの頃の
川の流れを見に行こう

悲しかったね
苦しかったね
でも頑張ったよね
僕ら 愛のために

好きだよ 好きだよ

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