霜月はるか

花祭りの娘 – 霜月はるか

青い空の果て 朱に暮れる雲
立ち上る煙が 収穫の合図

大門の路地から 荷車軋ませ
新しき実りを 街へともたらす

花の祭り始まるまでに
髪飾り編んで 君に贈ろう

夕陽が落ちたら 外へ出ておいで
宵の帳が 街を守り迎える

まだ知らぬ人と 笑いを交えて
分け合おう 木の実と恵みの杯

花びら浮かべて傾けた
果実酒は朧(おぼろ)に明日を見せる

想いの数だけ 人は火を灯す
ささやかな幸せを温めるため

出会いの数だけ 人は輪をつくる
満たされぬ命を足し続けるため

この夜を称え合いながら
賑やかな楽に乗って踊ろう

籠を天高く掲げ 花を降らせる習わし
薔薇が選んだ娘は 永久に恵み授かる

喜びの数だけ 両の手を叩こう
生きている この時間を 確かめるため

祈(ね)ぎ事の数だけ 歌を唄い上げよう
瞬いた星々にも 願いを掛けて

夜更け 微睡みかけた君が
紡ぐ夢で未来の機織り
どんな色に染めていくのか
花の祭は まだ終わらない…

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