関周

  • 波に寄せて – 関周

    防波堤の角に座って波の音を聞いてるいつしか可愛い友達隣に猫が座ってるきっとお前の好きな場所柔らかな日差しの中移ろう時に心まかせて波の音に包まれてゆく やがて景色は変わってゆき遠くかすみ漂ういつしか可愛い友達私の膝で眠ってる きっとお前もひとりだろうそっと話しかけてみる小さな耳は聞いている波の音と私の声を 別れの時がわかるのかい少し冷えてきたねお前は帰って行くんだね波の音だけ残してひとり帰ってゆくん…

  • パパの作りばなし – 関周

    主人公はいつも決まってた 僕と二つ違いの妹だ昔むかしあるところにと 必ず始まる物語悪い怪獣急にやって来て 妹をいじめるんだもうだめかと思ったとき パンチで倒して妹を助けたんだ どこにでもありそうな パパの作りばなし眠りにつく前のパパの 作りばなし その夜は話が違ってた 怪獣のワナにはまったんだ二人は大きな落とし穴に 落ちてなかなか出られないいつもと違う展開に 泣き出す寸前だもうだめかと思ったとき …

  • 帰りたい場所 – 関周

    あれはどこだったんだろう森の中にぽっかり空き地心地よい風が葉音を奏でる このところ私の中に現れるいつもと同じあの場所は遠い記憶でも確かにそこにいたんだよ私は立っていたんだよ 風のにおいに誘われて時空を超えて飛び立とう父と母を追いかけて帰りたい場所がそこにある あれはどこだったんだろう人気のない小さな入り江心地よい風にさざ波きらめく 悲しくてとてもきれいで切なくてセピア色した絵のような遠い記憶でも確…

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