門倉有希

  • 幸せの分かれ道 – 門倉有希

    九月の黄昏 金木犀の薫風(かぜ)街路樹の向こうに あなたを見つけた目の前の忙しさ 言い訳にしてずっと恋を遠ざけてきたのは たぶんあなたのせい幸せの分かれ道もしも いつか すれちがっても気づかないふりをすると ずっと決めてたのにだめね… 微笑(わら)いかけてたI miss you so long 小さなシーンも 今思い出せるわ青春は輝く 名作映画ね胸の傷とっくに 癒えていたはずなのに恋を遠ざけてきた…

  • ラナンキュラス – 門倉有希

    海のような空飛行機雲の波濤(はとう)がよぎる 諦めること 諦めたのよあなたの愛で 夢から覚めた夢みて昼下がり 手のばせば その温もりへと触れる 安らぐことって こういうことをいうのね小さな花びら重ねて咲く この日々 ラナンキュラス 「希(のぞみ)は いつも有る」と私の名が背を押す 止まってた時の振り子が夢の発条(ぜんまい)巻いて 再び未来を刻む 「ありがとう」「ごめんね」 伝えられずにきたあなたに…

  • ど真中のブルース – 門倉有希

    心と身体の ど真中まっ赤な花が 咲いているいくつになっても 女ならいくつになっても 抱かれたいど真中の ど真中の ブルースよ 昨日と明日の ど真中涙の花が 咲いている生れてきたのが 女なら生れてきたのを 恨まないど真中の ど真中の ブルースよ この世とあの世の ど真中命の花が 咲いている生きてる力が 女なら生きてる限りに 恋したいど真中の ど真中の ブルースよ あばよとあばよの ど真中あたしの花が…

  • メトロ – 門倉有希

    地下鉄は夕陽の 寂しさなんか知らないガラス車窓(まど)には たたずむ人々(ひと)の 過去を映すけど心の悩みと 別れるならば人生を乗り換える そんな駅がきっとあるララララ… いい事もある 生きてればララララ… 走れメトロよ 今日もまた 地下鉄は都会の 夜明けの空を知らない人の心も 青空(そら)があると そんなことさえも疲れた想い出 席を立っても人生の途中下車 そんな駅はどこもないララララ… 悲しみも…

  • 別れの朝 – 門倉有希

    別れの朝ふたりはさめた紅茶のみほしさようならのくちづけわらいながら交わした 別れの朝ふたりは白いドアを開いて駅につづく小径を何も言わず歩いた 言わないでなぐさめは涙をさそうから触れないでこの指に心が乱れるから やがて汽車は出てゆき一人残る私はちぎれるほど手をふるあなたの目を見ていた 言わないでなぐさめは涙をさそうから触れないでこの指に心が乱れるから やがて汽車は出てゆき一人残る私はちぎれるほど手を…

  • 終着駅 – 門倉有希

    落葉の舞い散る 停車場は悲しい女の吹きだまりだから今日もひとり 明日もひとり涙を捨てにくる真冬に裸足は 冷たかろう大きな荷物は 重たかろうなのに今日もひとり 明日もひとり過去から逃げてくる 一度離したら 二度とつかめない愛という名の あたたかい心の鍵は 最終列車が着く度によく似た女が 降りてくるそして今日もひとり 明日もひとり過去から逃げてくる 肩抱く夜風の なぐさめは忘れる努力の邪魔になるだから…

  • この空を飛べたら – 門倉有希

    空を飛ぼうなんて 悲しい話をいつまで考えているのさあの人が突然 戻ったらなんていつまで考えているのさ 暗い土の上に 叩きつけられてもこりもせずに 空を見ている凍るような声で 別れを言われてもこりもせずに信じてる 信じてる ああ 人は昔々鳥だったのかもしれないねこんなにも こんなにも空が恋しい 飛べる筈のない空 みんなわかっていて今日も走ってゆく 走ってく戻るはずのない人 私わかっていて今日も待って…

  • 舟唄 – 門倉有希

    お酒はぬるめの 燗がいい肴はあぶった イカでいい女は無口な ひとがいい灯りはぼんやり ともりゃいいしみじみ飲めば しみじみと想い出だけが 行き過ぎる涙がポロリと こぼれたら歌いだすのさ 舟唄を 沖の鴎に深酒させてヨいとしあの娘とヨ 朝寝するダンチョネ 店には飾りが ないがいい窓から港が 見えりゃいいはやりの歌など なくていいときどき霧笛が 鳴ればいいほろほろ飲めば ほろほろと心がすすり 泣いている…

  • 五番街のマリーへ – 門倉有希

    五番街へ行ったならばマリーの家へ行きどんなくらししているのか 見て来てほしい五番街は 古い町で昔からの人がきっと住んでいると思う たずねてほしいマリーという娘と遠い昔にくらし悲しい思いをさせたそれだけが 気がかり五番街で うわさをきいてもしも嫁に行って今がとてもしあわせなら 寄らずにほしい 五番街へ行ったならばマリーの家へ行きどんなくらししているのか 見て来てほしい五番街で 住んだ頃は長い髪をして…

  • 別れの予感 – 門倉有希

    泣き出してしまいそう 痛いほど好きだからどこへも行かないで 息を止めてそばにいて身体からこの心 取り出してくれるならあなたに見せたいの この胸の想いを 教えて 悲しくなるその理由(わけ)あなたに触れていても 信じることそれだけだから海よりもまだ深く 空よりもまだ青く あなたをこれ以上 愛するなんてわたしには 出来ない もう少し綺麗なら 心配はしないけどわたしのことだけを 見つめていて欲しいから悲し…

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