鈴木慶一

自動販売機の中のオフィーリア – 鈴木慶一

雪が舞う プラットホームでは
僕たちの 輝く日々が
くすんでいって しまうね
自動販売機を 探そう

一面の 百合の前では
僕たちの 甘い香りが
蹴散らされて しまいそう
自動販売機に コインを

夕暮れに 肩を落として
歩いてゆく 人たちも
列を作り 並んで
自動販売機の 前に

堤防に 皺を刻んだ
年老いた 船乗りたちが
満足げな 話を
自動販売機に もたれ

明日はいつも 昨日よりも
小さく見える オフィーリア
ボトルの中 昨日よりも
大きく見える オフィーリア

例えて 言うなら
愛の 成り立ちは
狂気を 装い
毒を 浴びてしまう
王子のような
口を開けたまま
死に至る前の
あの感じだ

我を忘れる 日もあるよ
無人の場所に 救われる
一から やりなおそう
自動販売機の 前で

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セニョール 何の価値も無い 俺を見るなよセニョーラ 働く気も無い 俺の手を取り助けて下さい 何か下さいキャンディかコインかハートの中身は いつだってすっからかん

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