鈴木准

じゃあね – 鈴木准

じゃあね いい街だったよ じゃあね
馬が蹄(ひづめ)をこするよ
別れの酒受けてくれ
涙知らずのあの娘は
哀しい顔を見せない
だから笑顔でさよなら
じゃあね いい街だったよ じゃあね

じゃあね 緑の庭たち じゃあね
川沿いの道走って
声高らかに歌うよ
暗い調べは嫌いと
聴きたがらないあの娘に
哀しい歌は歌えず
じゃあね 緑の庭たち じゃあね

じゃあね 優しい少女よ じゃあね
花の匂いの家から
媚びるまなざし投げられ
ちょっと会釈はしたけど
手綱をきつく持ち
引き返しはしない
じゃあね 優しい少女よ じゃあね

じゃあね 地平線の太陽 じゃあね
今 満天に広がる
星の毛布に包まれて
彷徨える魂を癒して
照らしておくれ
星よ かすかな光で
じゃあね 地平線の太陽 じゃあね

じゃあね 窓あかりひとつ じゃあね
ろうそくの揺れる炎
ぼくを手まねいて誘う
とびらの前で悩み
行ったり来たりしたが
今夜で最後にする
じゃあね 窓あかりひとつ じゃあね

じゃあね 消えゆく星たち じゃあね
銀河の星が降っても
窓のともしびに勝てない
部屋の灯(ひ)が消えたなら
星案内もない
星案内もない
星案内もない
じゃあね 消えゆく星たち じゃあね

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