金児憲史

赤いハンカチ – 金児憲史

アカシヤの 花の下で
あの娘が窃っと 瞼を拭いた
赤いハンカチよ
怨みに濡れた 目がしらに
それでも泪は こぼれて落ちた

北国の 春も逝く日
俺たちだけが しょんぼり見てた
遠い浮雲よ
死ぬ気になれば ふたりとも
霞の彼方に 行かれたものを

アカシヤの 花も散って
あの娘はどこか 俤(おもかげ)匂う
赤いハンカチよ
背広の胸に この俺の
こころに遺(のこ)るよ 切ない影が

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