野中さおり

雪すみれ – 野中さおり

女ごころの 切なさは
たとえば冬の 北の駅
雪の花 白い花 おもいでの花
抱けばなおさら 儚いものを
いつか来る春 待ちわびる
……雪すみれ

逢えるはずない 人なのに
それでもすがる 恋の花
くちびるに おくれ毛に 涙の胸に
凍りついてる 花びらだから
せめて咲かせて もう一度
……雪すみれ

雪にかくれた 遠い春
ほころぶ夢の 糸ざくら
花しずく 恋しずく 心のしずく
散らせたくない 蕾のままで
想いひそかに 揺れて咲く
……雪すみれ

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