野中さおり

  • 恋月 – 野中さおり

    窓には三日月 寝化粧の鏡の奥まで あなたが匂う待ちくたびれて 恋やつれ街の灯りも 夢やつれ 夢やつれ「一緒になろう」と 口癖の嘘に微笑む 不幸ぐせ あの夜(よ)は新月 暗闇で初めてあなたの 優しさ知った愛して欲しい ほつれ髪濡れたまんまの 洗い髪 洗い髪何度も何度も もぐり込む胸で一夜(ひとよ)の 舟になる 優しいあなたが 好きだけど誰にも優しい あなたが嫌い男は誰も 解らずやもっと女は 解らずや…

  • 花絆 – 野中さおり

    桜が咲くとき 雪のころ笑顔と涙の 幾春秋(いくしゅんじゅう)あぁ 過ぎた日々 振り向けば苦労の分も 優しくなれる風はまだまだ 冷たいけれど花のように 寄り添い生きる… 花絆 秋風吹くとき 花は散る散ってもあとには 実をのこすあぁ 故郷(ふるさと)は あかね色父(ちち)母(はは)暮らす 西空見上げ風はまだまだ 冷たいけれど花のように 心をかさね… 花絆 ひとりで生きてた つもりでも支えてくれてた ひ…

  • 雪すみれ – 野中さおり

    女ごころの 切なさはたとえば冬の 北の駅雪の花 白い花 おもいでの花抱けばなおさら 儚いものをいつか来る春 待ちわびる……雪すみれ 逢えるはずない 人なのにそれでもすがる 恋の花くちびるに おくれ毛に 涙の胸に凍りついてる 花びらだからせめて咲かせて もう一度……雪すみれ 雪にかくれた 遠い春ほころぶ夢の 糸ざくら花しずく 恋しずく 心のしずく散らせたくない 蕾のままで想いひそかに 揺れて咲く………

  • 夢かんざし – 野中さおり

    桜吹雪が 十和田の湖(うみ)に舞えばみちのく 故郷(こきょう)は春だ帰ろうかなあって 思う夜(よ)は都会の暮らしに 泣けてくる父母(おや)も知らない やつれた胸にしのぶ津軽の あかね空 ハァ~アア… 花は咲いても 悲しいものは人の別れと エエ…風の笛 寒さしのぎに 覚えたお酒何度飲んだか 涙でうめて逢いたいなあって 思う日が瞼に吹雪いて 積もるけど涙みやげに 帰れはしない桜花咲く ふる里へ 淋しい…

  • 陽だまり坂 – 野中さおり

    うしろ向いたら 雨あらし無理に笑えば また転ぶ また転ぶ誰も背中は 見えぬからついてゆきます 後ろからよいしょ よいしょ よいしょと 歩きましょ冬の木漏れ日 陽だまり坂を 石につまづく 日があれば肩を貸してね ねぇあなた ねぇあなたなんど苦労を 背負っても捨てはしません 夢だけはよいしょ よいしょ よいしょと 歩きましょ風もうたた寝 陽だまり坂を 晴れてばかりの 人生じゃ花も咲かずに 枯れるだけ …

  • あなたが好きだから – 野中さおり

    あなたが好きだから 気づいて欲しくって意地悪をしてみたの ごめんなさいねあなたはいつだって 気づかないふりしてやきもちを妬かせるの ホントにずるいひとイヤ イヤ イヤイヤよイヤ イヤ イヤイヤよつらい思いは もうイヤよ……あなたがいなければ 明日は来ないからお願いよ よばにいて 心配だから あなたの笑顔には やすらぎ感じるの陽だまりに包まれた 匂いがするのあなたと一緒なら なんにも恐くない甘えても…

  • 夏雪草 – 野中さおり

    逢いに行(ゆ)きたい 行(い)ったら駄目と心に私が ふたりいる夏雪草 夏雪草…白い花びら 日陰で咲いてそれでも「しあわせ」 花言葉まるで私ね 似たふたり 冬が私で あなたが夏ねかじかむ寒さに 慣れてるの夏雪草 夏雪草…胸がこんなに 熱く燃えてる誰にも言えない もどかしさ夢を持たない 一年草 恋の花なら 咲きたいけれど恋には咲けない 花もある夏雪草 夏雪草…ふたりいっしょに 居るだけでいいこころに花…

  • 天の川恋歌 – 野中さおり

    恋に焦がれて 鳴く蝉(せみ)の哀れさ感じて 引いた口紅(べに)うすい袷(あわせ)の 帯を解(と)き抱かれた私は 愚かでしょうか夜空にかかる 天の川次の逢瀬は いつですかあした あさって しあさってそれとも逢っては いけない恋ですか 窓の向こうの 螢火(ほたるび)をあなたは無邪気に 手ですくういのち短い ひと夏を一途に燃えたい 螢のように夜空にかかる 天の川胸の涙が 見えますかひとつ ふたつと また…

  • いなせだね… – 野中さおり

    ちゃきちゃき江戸っ子 あのひとは喧嘩早くて 向こう見ずおまけに祭りが 大好きで春は神田で 神輿を担ぎ秋は深川 木遣りを唄う印半纏 気負い肌あぁいなせだね… 町の小娘(むすめ)に モテすぎて嫉妬(やきもち)やいてちゃ 身がもたぬ 門前仲町の 若旦那芸ごと遊びにゃ 目がなくて勘当されよと へっちゃら小唄・端唄は まだ序の口で三味に踊りと なんでもござれ髷(まげ)も小粋な 男伊達あぁいなせだね… たまに…

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