近田春夫

0発100中 – 近田春夫

「愛してるよ」など すぐに言えた頃
ぼくはリボルバー きみはマシンガン
そう喩えられてた
朝はロータリーで 夜は公園で
むしゃくしゃしては 無茶苦茶してた
16の前後

あれから、いくばく
ちがう手口 同じ瞳
あれから、いくばく
恐れを知らなかった少年なら
効いたのかもな

残念 全然当たらないひと
Come on ここだよ ここだよ 急所は
撃てど撃てど無意味さ
なぜなら ぼくは おれは
とうにもう風穴

肌とこの世とに 油さした頃
おれの撃鉄 すっかり錆びた
直す気もなかった
どこでどんなひと 興味もないけど
きみが身を切る恋をしたのは
23だったらしい

そしたら、地下鉄
スローモーション 火薬のにおい
そしたら、地下鉄
お互い立ち止まった 重く湿った
熱風が吹く

残弾 全然数えなくていい
Come on そうだよ そうだよ ゆっくり
逃げも隠れもしない
おおかた きみも きみも
空っぽになったろう

おれなら、たのしく
きみじゃなくても暮らせてきた
そしたら、地下鉄
お互い立ち止まった 重く湿った
熱風が吹く
残念 全然当たらないひと
Come on ここだよ ここだよ 急所は
撃てど撃てど無意味さ
なぜなら ぼくは おれは

残弾 全然数えなくていい
Come on そうだよ そうだよ ゆっくり
逃げも隠れもしない
おおかた きみも きみも
空っぽになったろう

おれはもう風穴
とうにもう風穴

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