谷山浩子

  • きみがいるから – 谷山浩子

    血管 ありがと いつもそばにいてくれていろんなものを 運んでくれて内臓 ありがと いつもそばにいてくれてずっと眠らず 働いてくれて きみがいるから わたし今日も生きてる無口な優しさに守られて 骨 ありがと いつもそばにいてくれてわたしのすべて 支えてくれて他のみんなもありがと まとめてでごめんほんとありがと 言葉じゃ足りない 生まれたときからずっと 一緒にいたね一緒に遊んで一緒に泣いて 陽射しのき…

  • 夢 – 谷山浩子

    土曜日には少しだけ早起き都心までドライブしてあなたと軽く食事をしたあとは別に目的もなく人混みをすり抜け歩いた おしゃべりして 露店の花 カメラ屋のショーウィンドウわけもなく笑いたいベビーカーにほほえむ老夫婦駐車場の猫たち人待ち顔のギャラリー日射しにきらめく窓 みんな夢だったなんて夢だったなんて夢だったなんて夢だったなんて 何もかも 日曜日は思い切り眠って気がつけば日は高く窓の外でのんびりした声が子…

  • ROLLING DOWN – 谷山浩子

    誰も手をひいてくれないだからもう足が動かない呼んでみても母さんはいないあの日坂の下に残して来た 耳もとであまくささやく声は「もうおやめ 登るのは」それはまるで母さんの声おまえはもう何も考えない おまえの ROLLING DOWNかなしい ROLLING DOWN目をとじて 身をまかせ落ちて行く 落ちて行く 街の中 ゆれる人波ふらふらと歩く おまえは足がとても とても細いのでキレイだけど 長くは歩け…

  • 七角錐の少女 – 谷山浩子

    完全な円錐の形したきみの家透きとおる藍色の夜空めざし のびていくきみの家は高く高く 細長くのびていき今やそれはひとすじの 銀色の糸のよう 僕は今歩いてる きみの家につづく道完全な直線の 幅のないこの道を歩いても歩いても たどりつけぬきみの家時は白く凍りつき 距離は無限の罠の中 七つの星に飾られた 七角錐の少女日がな一日 はかりつづける自分の辺の長さ 闇の中 光る鏡が映しだす不等辺完全な円錐に隠され…

  • 卵 – 谷山浩子

    卵の中で 僕は生まれた卵の中で 僕は育った卵の中で 僕は年老い卵の中で 死んで腐った ような気がするほど 長い長い時が僕の上を下を 流れて過ぎた 卵の中に 全てがある卵の中に 世界がまるごと座ったままで 全部手が届く眠ったままで 全部手に入る だからまあまあ楽しい なにということもなく壁に映る夢に 心は躍る だけどひとつだけ 気になることがあるかすかに聞こえる 誰かの泣き声胸をしめつける 悲しげな…

  • 雨 – 谷山浩子

    雨が遠く 街並み霞ませて春の木々を 冷たく濡らす 窓をつたい 流れる雨だれは泣けぬばかな わたしの涙 あぁ 流れて ひとつになって河になりあぁ 溢れる悲しみが 消え去ればいいのに 窓を叩く 雨音絶え間なく濡れた心 かき乱すから何も知らぬ 幼い子のように雨に指を さしのべてみる あぁ わたしも ひとつぶの雨になって流れ行き 海になり 空へ帰れるなら 雨 雨 雨 雨…… 人気の新着歌詞 わたしを殺さな…

  • 水晶散歩 – 谷山浩子

    僕は探していた 姿を消した子猫歩いているとふいに 知らない人が僕に「ねえ君 頼みがある わしは水族館の館長をしてる者だが 水族館から逃げ出した 砂版魚を全部つかまえないと帰れないどうかこの時計を 水族館の者に渡してほしい」 僕は時計を受け取り 街へと歩いていく「水族館はどこにありますか」とたずねた「ねえ君」と男が言った 「もしかしたら君は水族館にその時計を 持って行くんじゃないのかい」 「どうして…

  • 愛を込めて。海 – 谷山浩子

    あなたと出会ったころコクリコの花が咲いていたことをまだ憶えてますか 古い石垣と生垣かたむいた電信柱黒くて重たい自転車であなたは風になってわたしを丘の上から連れ去った あなたが旅立ったころコクリコの花が咲いていたことをまだ憶えてますか 輝く海に浮かぶ船影青い松の木の香りそれはやっぱり悲しかったけどわたしはもう一人でも漕ぎ出すことができると知っていた 坂道を駆け上がる潮風が手紙を運んでくれるきっと、ず…

  • よく見えない子供 – 谷山浩子

    そこにいるような いないようなよくわからない子供がいるそこにあるような ないような木馬にまたがり 揺れてるような 記憶の樹海の奥深く人のいた気配もない隠れ家子供の姿を描いてたあの絵描きはどこへ消えた そこにいるような いないようなよくわからない子供がいるまばたきひとつで いなくなりまばたきふたつで 隣にいる 戯れに言葉をかければ返事が聞こえる 木霊のように本当にわたしはいるのかわたしという言葉の嘘…

  • 箱の中にいる – 谷山浩子

    暗闇の路地を7つ折れて自分が今どこにいるのかもわからなくなった きみの前に不意に現れた 古い道具屋 欠けた壺や 変な彫刻瓶の中の蛇 歯抜けのタイプライター耳をすませば かすかな音が廊下のつきあたり 床の暗がり 僕はここにいる 箱の中に遠い昔から きみを待ってた何百何千万回も 電話をかけた何百何千万回の 間違い電話 やめてください 間違いですあなたは誰? 間違いです僕はきみを 呼び続けたいつも答は …

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