見田村千晴

レプリカ – 見田村千晴

泣いた
ビンのふたが開けられなくて泣いた
あんたなんか何もできないって言われた気がして泣いた

泣いた
携帯が見つからなくて泣いた
誰とも繋がってはいけないのかな 怖くなって泣いた

一人でいるときにだけ泣いてる
自分に酔ってるみたいでなんかムカつく
面倒臭い奴だって笑えてくる
ほらね 私 忙しいや

膨らんだ風船に針を刺せ
飲み込んだ空しさを忘れるな
君に会うなら笑っていたい
作り上げた精巧なレプリカは“私”
お気に召すかしら

飽きた
叶わない夢ばかり見るの飽きた
いつまでも子供みたいだって言われてごまかすの飽きた

続く
どうしようもない日々だとしても続く
転がってるプライド集めて丸めて捨てるために続く

すれ違った誰かの優しさとか
思い出し笑いを堪えてる顔とか
嬉しくなっては勝手に安心してるよ
ほらね 私 ちゃっかりしてるや

惑わせる情報に愛を足せ
踏み込んだ右足よ恐れるな
君に会うなら余裕でいたい
夢見がちで貪欲なレプリカは“私”
お口に合うかしら

泣いた
ビンのふたが開けられなくて泣いた
泣いた
携帯が見つからなくて泣いた
飽きた
叶わない夢ばかり見るの飽きた
続く
どうしようもない日々だとしても続く

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