西川ひとみ

  • 女郎花 – 西川ひとみ

    一夜かぎりの 旅路の人と知って抱かれた 私なのなぜか気になる 港の船がつらい別れを せきたてる出船 入船 渡鹿野島(わたかのじま)に今日も花咲く 女郎花 こんど逢う日の 約束さえもせがみきれずに 切れた恋想い出させる 波止場の日暮れ赤い灯台 灯がともりゃネオン枕の 渡鹿野島(わたかのじま)に今宵花咲く 女郎花 人の噂は 嵐の海に捨てて今日から 生きましょう化粧姿を 鏡に写しすこし濃い目の 紅を引く…

  • ふるさとの…星 – 西川ひとみ

    星ひとつ きらきらと 夜空に光る故郷(ふるさと)の 母さんを 想い出す夕焼け小焼け 帰り道一番星 空見上げ明日(あした)も 晴れるねと 笑ってた母さんに もう一度 会いたいな 流れ星 またひとつ 夜空に落ちる二人して 手を合わせ 祈ったねあの時何を 願ったか忘れたけど 消えたけどつないだ 手の温み 覚えてる母さんと もう一度 歩きたい 守り星 ホラひとつ 優しく光るついてくる 母さんの 星ひとつメ…

  • 絶唱…北岬 – 西川ひとみ

    雪の海峡 別離(わかれ)の北岬私だけ この世に 置いてったあなた ネェ そこから呼んでいる 私が見えますか折れる心を 抱きしめて…生きてきた ネェあなた あなた、見えますか? 私は元気にやってます。周りも良い人達ばかりで、新しい暮らしにも慣れました。どうにか、やっていけそうです。でも、どうしても どうしても 淋しい時は泣いても良いですか…あなた。 声を限りに 海空鳴くカモメ枯れるほど 死ぬほど 泣…

  • お祭り小町 – 西川ひとみ

    祭り太鼓が ドドンとひびきゃ鼻緒キリリと お祭り小町三歳(みっつ)で神輿を 追いかけて笛と太鼓が 子守唄ソイヤ ソイヤ ソイヤ…バチを両手の バチを両手のエエ… 艶(あで)姿 男勝りの 下町育ち今じゃ噂の お祭り小町小菊に結んだ ねじり花白いうなじに 光る汗ソイヤ ソイヤ ソイヤ…右へ左へ 右へ左へエエ… 蝶と舞う 恋の誘いは 掃くほどあるが風にゃなびかぬ お祭り小町惚れたのハレたの 男衆ニッコリ…

  • 玄界灘に春が来る – 西川ひとみ

    波がドンと来りゃ 玄界灘に春が来るきっと私にも 春が来る十九 二十歳の 恋じゃなか一生一度の 命恋アンタ アンタに 逢いたかね…ウチは信じて 春を待つ 風がパッと止みゃ 玄界灘に春が来る暗い港にも 春が来る頬にこぼれた この涙冬の海より しょっぱかねアンタ アンタに 甘えたか…波が泣かせる 子守唄 花がポンと咲きゃ 玄界灘に春が来る海の向こうから 春が来る白い鴎を 引き連れて笑顔みやげに かえり船…

  • 海峡冬つばめ – 西川ひとみ

    海峡吹雪 波また波に翼を濡らして カモメが飛んだわたし馬鹿よね ためらいながら泣いてばかりじゃ 明日もないあなた無しでは 死んだも同じ追ってゆきたい 冬のつばめよ 波打つしぶき 氷雨となって小指の先まで 女を泣かす髪の乱れを 手櫛でとかし迎え来ぬかと 紅をひくあなた以外に もう愛せない夢はかげろう 冬のつばめよ 最果て港 凍てつく心あなたはこの海 超えたでしょうか出船入り船 行き交うけれど恋は二度…

  • 風伝おろし – 西川ひとみ

    霧のむこうの 見えない顔は見たい会いたい 父(とう)さまか山肌駆けてく 朝霧の滝の花火に かげゆれる御伽(おとぎ)・景色か 御浜町(みはま)の風伝おろし 雨も夜露も うとまず受けて見たい会いたい 父(とう)さまをたずねてここまで 三重の郷峠・山坂・熊野灘(くまのなだ)うわさください 御浜町(みはま)の風伝おろし かかる朝霧 あつめて抱けば見たい会いたい 父(とう)さまの姿に変わると 風の声夢があし…

  • 越前鬼北・風の唄 – 西川ひとみ

    越前鬼北 風よ すさぶな日暮れて 一声 海鳥啼けば里は寂しくヨー なるばかり待って 待って 一人…日本海最後の手紙 握りしめ好きよ 好き好き…ただ一人読めば恋しい 下がり文字 刺し子に暖簾に 雪よ 吹雪くな硝子戸 ふるわしゃ あの人想い胸は切なくヨー なるばかり泣いて 泣いて 一人…日本海熱燗ジンと しみてくる好きよ 好き好き…逢いたくてだけど遠いよ 東京は 越前岬の 海よ 荒れるな荒れれば 寄せ…

  • 夫婦竜 – 西川ひとみ

    惚れた男を 世に出すためにゃ鬼になります 蛇にもなる女だてらと 笑わば笑え嵐うず巻く 洞海湾(どうかいわん)に二人で漕ぎ出す アアン アアン アアアアン 伝馬船(てんません) 夢に命を賭けるのが 男ちゅうもんなら惚れた男に一生を賭けるのが 女ちゅうもんじゃなかですか。こン人と一緒に死ねるなら 女にとってこんな幸せはなかと。私(わたしゃ)はそう思っとりますばい。 意地にゃ強いが 情けにゃ弱いゴンゾウ…

  • 祭り列島ひとり旅 – 西川ひとみ

    北の札幌 雪まつり一目惚れした あの人はねぶた見たさに 青森へ津軽海峡 ひとまたぎ帰り待てずに 旅支度恋は女を 強くする祭り列島 ひとり旅 星の七夕 仙台へ募(つの)る想いの 先回り三社(さんじゃ)祭りの 浅草でほんのひと足 すれ違い祭り野郎の あの人にいつになったら 追い付ける祭り列島 ひとり旅 佐渡の鬼太鼓(おんでこ) 聴きながらうわさ追いかけ 高山へ三味と胡弓が すすり泣くおわら越中 風の盆…

Back to top button