西崎緑

あなたたずねて – 西崎緑

あの人に逢いたくて
ただひとり旅に出た
行方を知らない人ならば
どこに行けばいいの
あなたがいつか話してくれた
岬の町たずねてきたが
海鳥の声がするだけで
今日も今日もむだだった
どうして悲しい生き方をするの
あなたはするの

幸せをあげられぬ
ぼくだよといっていた
これから二人でさがそうと
約束したものを
さびしい人が求めるような
湖畔の町たずねてきたが
うわさなどだれも知らないで
今日も今日もむだだった
どうして悲しい道だけを
あなたは行くの

さびれた汽車に今日また乗って
あなたのことさがしてゆくの
夕映えが空を染めている
今日も今日もむだだった
どうして悲しい夢だけを
あなたは追うの

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