西島三重子

愛に流されて – 西島三重子

涼しい風のようなきみに
愛を見たのは いつからでしょうか
あの頃手にしたときめきは
今でも心にゆれている

電車のドアのそばに立って
人目しのんで指先からめて
もうすぐ きみだけ降りて行く
悲しみ駅まで しのび逢い

きみが好きさ 目を閉じれば
都会の夏は 海に変わる

愛に流されて 愛に流されて
今日も流されて ふたりは
愛に流されて 愛に流されて
どこまで行くのですか

ホームにひとり きみを残し
今日も別れのステージのように
電車は冷たく ドアを閉め
ふたりの時間に幕を引く

小さく胸に波をたてる
きみのつぶやく さよならはいつも
悲しいくらいに やさしくて
離れているほど心配さ

きみが好きさ 何もできず
こうして僕は波にゆられ

愛に流されて 愛に流されて
今日も流されて ふたりは
愛に流されて 愛に流されて
どこまで行くのですか

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