藤野とし恵

  • 潮鳴り岬 – 藤野とし恵

    北の果てまで 逃れてみてもなんで面影 ついて来る世間が許さぬ 恋ですと知っていました はじめからあなたのためです 身を引いてひとり涙の 潮鳴り岬 口紅(べに)の色さえ 目立たぬように逢瀬(おうせ)重ねた 隠れ宿あなたの優しさ 思うたび熱くなります この胸が女の愚かさ 叱るよに潮風(かぜ)が頬打つ 潮鳴り岬 波に揺られて 一羽の鴎連れにおまえも はぐれたか幸せでしたと つぶやけば岩に飛沫(しぶき)が…

  • 雨恋花 – 藤野とし恵

    いまは他人の あの人なのに聴けば乱れる 風便り雨恋花の 紫陽花の雨は雨は雨は女の 涙でしょうか…拾い集めた 良いことだけを想い出してる 私です 後も向かない 冷たい背中を追ったあの日の 蛇の目傘雨恋花の 紫陽花の恋は恋は恋は移り気 遊びでしょうか…憎い仕打ちも 月日が経てば許すつもりの 私です 募る逢いたさ 浴衣の袖を濡らす涙の 肘まくら雨恋花の 紫陽花の夢は夢は夢はこぼれる 雫でしょうか…当ての…

  • 男どき女どき – 藤野とし恵

    いい事ばかりは 続かないわるいながれも 続かないめおとって ふうふっていち枚の 紙ですね裏があっての 表ですあぁ人生 男どき女どきの男どき女どきの恋時計 登って気がつく 事もある降りて見つかる 事もあるこの世って 浮世ってひと幕の お芝居ね脇があっての 主役ですあぁ人生 男どき女どきの男どき女どきの夢時計 笑顔で咲かせた 花もある泣いて散らした 花もある何時だって 何処だってそばにいて 下さいねあ…

  • 人のかずだけ – 藤野とし恵

    この世は喜怒哀楽の 海だから時には淋しいことも あるでしょう過去という名の 想い出と明日(あす)という名の 波にただようだから人 人 人のかずだけ夢があり夢 夢 夢のかずだけ人は泣く枕を濡らしてみてもお酒に溺れてみても忘れられないことばかり こころの思いをすべて 伝えたら時には傷つくことも あるでしょう好きになるほど 苦しくて遠くなるほど 胸が切ないだから人 人 人のかずだけ夢があり夢 夢 夢のか…

  • うつしみの… – 藤野とし恵

    あの人の移り香が かすかに匂い逢いたさに心が 乱れる飛び交う蛍の 儚さが女の恋の 運命でしょうか…燃える 燃える 燃える 吐息が燃える熱く 熱く 熱く 素肌が燃える残り火 今も 揺れながら 仮りそめの契りだと わかっていても何故に女は 夢みるまた来るあてさえ ない人に身を焼く私 愚かでしょうか…燃える 燃える 燃える 吐息燃えるが熱く 熱く 熱く 素肌が燃える残り火 今も 揺れながら 燃える 燃え…

  • 迎春花 – 藤野とし恵

    あなたがいたから 耐えられました明日に夢を 持てました小さな黄色い 花びらに幸福あふれて こぼれそうありがとう…あなた咲かせてよかった 迎春花(げいしゅんか) 今では笑って すませるけれど苦労も遠い 語り草荒野にまたたく 灯のようにあなたがわたしの 道しるべこれからも…あなた咲かせてよかった 迎春花(げいしゅんか) いのちを彩る 花びら六つ分け合いましょう 三つづつよろけたときには 手を貸して涙に…

  • 女の花は散らさない – 藤野とし恵

    月の雫(しずく)を てのひらに夢をひといろ 薄化粧この道はるか 歩いて行けば出逢える気がする いいことに梅はこぼれて 桜は散って椿は落ちても 女の花は死ぬまで散らない 散らさない…いつでも満開 花ざかり 合せ鏡で ほつれ毛を指で梳(と)かして 紅をひくこころの中も お洒落でなけりゃ女は生きてく かいがない風がこぼれて 枯葉が散って夕陽が落ちても 女の花は死ぬまで散らない 散らさない…明日も前向き …

  • 越冬花 – 藤野とし恵

    あなたの腕を ふりほどき別れて来たの 桟橋で雪が降る 船がでる もうすがれない好きで いりゃこそ 身を引くつらさくちびる噛みしめ こらえる 涙 ひとりで長い 北の冬どうして越せば いいのやら苦しいの 切ないの もうすがれない夢に紅さす 女の花は咲いてもこころに 抱けないさだめ 明日があるの あなたには重荷になるわ いつの日か追わないで 呼ばないで もうすがれない雪が舞うたび 未練がつもるさよなら思…

  • 女の流転 – 藤野とし恵

    あなたを追いかけて夜更けの路地でつまづく私がこぼした涙 うしろ向かずにヨー消えてゆく好きな 好きな好きな男の背中がにくい未練 裏町… 女の流転 噂を聞きました港の町でもいちど逢いたい想いがつのるもしも逢ったらヨーしあわせに暮らす 暮らす暮らすあなたを見るのがこわいかもめ 潮騒… 女の流転 信じてほしいのよ愛した男はあなたが始めで終わりでしょうね夢に 肴にヨー ひとり酒生きて 生きて生きてゆきます涙…

  • 酔恋花 – 藤野とし恵

    どうにもならない淋しさをまぎらすつもりの酒なのに酔えば女の 愚痴になり酔わなきゃ未練が尾をひいて北の港の こぼれ灯にかさねる面影 酔恋花 逢わなきゃよかった あの人に言わなきゃよかった つよがりを酔ったふりして 外に出りゃ霙がいつしか 雪模様消しておくれよ なにもかも咲いても咲けない 酔恋花 恋して涙を 知るたびに女はきれいになるなんて雁が浜辺で 流れ木を集めるみたいな夢さがしさがしつかれて 躓い…

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