藍坊主

  • ルノの子 – 藍坊主

    空が綺麗なこの町で、いっしょに見ていた月の色初めてくれた手紙には、コロッケ色の月の色さぁ僕ら月を見てた、同じ痛みを抱えてさぁ何が、どんな色で、心を溶かすのだろう、心を描くのだろう 汚れた裾で手を振って、またねと言った桜色悲しくないと思ってた、悲しくないと思っていたさぁ僕ら大人になり、同じ痛みを抱えた蛹が蝶になって、輝くその瞬間を、優しさが照らすようにさ 月明かりのマントに、僕たちは揺れてるよ不安な…

  • 小さな哲学 – 藍坊主

    ご飯が僕をむしゃむしゃ食べて 新聞が僕の文字を読んで溜まった課題が 山のような選択が 日々僕をやっている はいはい考えちゃだめ 手も足も止めたらだめ 睡眠が僕をとる 繰り返してきた ルールの中 世界が僕になったああ僕は僕を やれるのかな 夜空が僕を見上げた あの子は僕を冷たい人だというけれど 温かいとも言う彼らは僕をだらしないと言うけれど マメなやつだともいう はいはい考えちゃだめ それが人間って…

  • シュート – 藍坊主

    乾かないシーツの夕暮れ時にふとここ どこだったっけ 今何 やってるんだっけ僕が今死んでも ブラジルでは球が舞う 成功のために 走れど走れど成功はずっと 後ろを歩いてやがる たたったたったったったったったたったたったったったったっ祟った絶ったっ断ったっ脱った発った祝ったっ たたたたたた 出会えないキラキラを 傾ける 坂をくれ転がってここにこいよ 俺も戻ってやるよ味わえよ 俺のシュートを ぶっこむぜお…

  • ツキノフォン – 藍坊主

    凍えそうな窓を飲み込んでく 物語りを開く音が響く君も雲も 安らいで息を立ててる 宇宙はページをめくる月の明かりが染み込む カーテンの裾に ゆらめく秒針に 空の向こう 遥か向こう 広がって触れたこの世界狭い風を 頬で感じて こんな夜を思い出すだろう生きてることは 帰る途中の 淋しさなのかもしれない 繰り返せない日々を飲み込んでく いつかのような美しさを見てる栞を今 ここに挿してしまえたら 月の明かり…

  • 卵 – 藍坊主

    あなたはそう おいしいというあの子は絵の具で描き美しいという彼は流しにひっくり返し嫌いという 卵ひとつとってみても見え方はバラバラで この世界を照らしているきっと僕らも一緒なんだよ 愛されることもある 愛されないこともあるでも君は君のままでいい 卵は卵のままであるように 雨上がりの光の輝きに名前はないように砂漠に降る星屑にも 名前なんてないようにここにあなたが生まれ生きていることに やっぱり名前は…

  • 夏の金網 – 藍坊主

    やっぱりハズレた アイスの棒を噛んで 虫食いだらけの ビンゴに笑って良くも悪くもない おみくじを結んで 期限切れになった クーポン捨てて 劇的ではない僕らだけど なんとなく過ぎる日々だけど 君が見ていた夏ぞらに 鼻歌まじり歌うよ吹奏楽が金網から 風に変わるようにどこまでも行けるはずさ ブロック塀を焦がした日差しよりも白かったこと 僕ら心のまま 一度で挿さらない 裏でも挿さらない 戻すと挿さる US…

  • 魚の骨 – 藍坊主

    本を読んでも胸に 何もこない毎日を繰り返すたび僕は ゆっくり消えてるのかも新鮮さ 失い 乾いた目玉のようだでも悪い気がしないのは 君がいるから 浮かれた街を歩き 背骨に寒気を感じドラッグストアで酒を買い 夜を徘徊する異常な日々かな ダメな大人でしょうかそれでも君は僕を引っ張り続ける 夜を泳いで 魚を捕まえる 冷えた空気と 一緒に吸い込む 喉に刺さった魚の骨 それも気づけば僕の日常大きかった違和感も…

  • アンドロメダ – 藍坊主

    肉眼で見えるんだって 銀河は望遠鏡がなくても 見えるんだって天の川じゃないよ アンドロメダの銀河は渦が見えるらしいんだよ 詳しげに僕は熱弁したっけ 君の気を引きたくて 夜に会いたくて興味もない星の知識かじった <<これは僕らが星になるためのストーリー>> 目論見通り 食いついた君 愛おしそうに空をよく 眺めてたから あなたを見てたよ 夏の線路ぎわアンドロメダは 稲穂の匂いの中銀河は小指の爪よりも …

  • マザーツリー – 藍坊主

    精一杯背伸びしてみるよ今日はマザーツリーから伸びているブランコへ手が届くように地上は悲しみで溢れてるけど ツリーの上には満天の星空があるよ ランダムに散らばる星屑はいつみてもバケツいっぱいにいれた金平糖をひっくり返したかのようにその配置に法則性は見当たらない 意味なんてないでも僕らは 水の掬えない柄杓や シャケのとれない小熊や毒のないサソリの物語を夜空に見ているんだぜ 僕に生まれた意味がなくても …

  • ランドリー – 藍坊主

    君が泣くのなら僕は笑うから ここから辿ろう 涙の向こうへ 眩しすぎる蛍光灯 照らされ 一人のランドリー 今日は漫画が白黒のままポケットで溶けてたレシートや 散らばるティッシュみたいに僕らの毎日は 面倒ばかりだけど 君が泣くのなら僕は笑うから 穏やかなままの君でいれるように君が笑うなら夜も鮮やかだ ここから辿ろう 心に色を灯そう 消えないようにしなくちゃ 片方だけを残して 靴下なら笑い話だけど揺れた…

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