荘野ジュリ

  • 笑いたかった – 荘野ジュリ

    食べられる 為に 生まれた彼女が笑っていた捨てられる 為に 生まれたあたしも笑いたかった 千羽鶴を折った一羽ずつ祈り込めて他の人が好きだなんて直る病気なんでしょ? はぐれた犬だってちゃんと家に帰るのにもう新しい飼い主に懐いてるようで 哀しい ウナダレル 為に 生まれた膝を抱えず 泣いた捨てられる 為に 生まれたあたしも笑いたかった 君がいなければ生きてはいけないと言ったあなたが 今も笑顔で息をして…

  • ひととき – 荘野ジュリ

    Ah ひとときをあなたの ひとときをつなげ かさねこの部屋にとどめたい Ah ひとしずくわたしが ひとしずく目から 水を こぼせば望み叶う あなたの指先無邪気に花をもぎとる 少年のように私に触れては痛みを 残した 湯船に浮かべた 幸せ一つずつ 掴んで 落とすこのまま 溢れて溺れてしまう前に Ah ひとことをあなたの ひとことを切って 貼って思い出 作りかえる Ah なにもかもあなたの なにもかも知…

  • 金魚の私 – 荘野ジュリ

    何もない 水槽の中であなたの帰りを待ってる気が向いた時だけでいいからただこっち向いて 名前呼んで たとえば あたしが死んで水面に浮かんでいたらすぐに代わりを買いに行くんでしょ?そう それでもいい 今だけでも たった一言 好きという嘘みたいな言葉くれるのならば もう餌はいらないよ あたしは願う 生まれ変わってもあなたのもとへ 泳いで行けるように他の人を あなた以上に好きになることは無い 好きになんか…

  • 砂の舟 – 荘野ジュリ

    砂の舟に乗ってあなたのもとへ沈むとわかっていても、 途中で乗り込んだ若いあの娘(こ)は海に 落として来た もしも今日 会えたなら今日 触れたなら今日 死んでしまってもいいねぇ 拒むならそう 逃げればいいもう この舟じゃ追えない 血にまみれ この世に生まれ落ちてからあなたを 探していたよ 途方もない苦しみ目指して漕いだすべて 犠牲にして 痩せてく 手首 見る度にあなたを 思い出すそれでも ひきずられ…

  • サヨナラ少女 – 荘野ジュリ

    汚れたての心にひきずられていく少女その肌を街まで 売りに行くの? 賞味期限の切れた男は下手な手で幸せを 紙切れでくれました その場限りの優しさと偽りの愛を吐く錆びた息にまみれ もう戻れないカラダ値札ついたそのカラダ名前も知らない人にせめて どうか心は心は 脱がされないで 理想というウロコがボロボロと剥がされてくあとは たださばかれてしまうだけ 食べずに残していた家族の温もりさえその蓋を開けたら 腐…

  • カゲロウ – 荘野ジュリ

    ひどく欠けた月を身籠った恋でした誰かのモノと知りながら泥棒になりました 抱いてくれる 手をください交わる 声をくださいわたしひとりで 汚(けが)れてゆくから 心はかげろうどこを彷徨うなにをためらう魔がさす 躯(からだ)もかげろう愛を見紛(みまが)う嘘さえ頬ずり幸せならいい 放っておいたら枯れる花ならば 摘みますか想い出ばかり部屋中に飾るのは 嫌ですか 見つめあえる 目をください潤う 肌をくださいど…

  • 駅ニテ – 荘野ジュリ

    彼が昨日ビデオ屋で言ったどんな風に 僕を選んだの?笑いながらあたしも言った見たい映画 借りるように 決めたの 向いのホームの誰かがあたしのモノにならないのは2本の線路が悪いの?何が悪いの? 足りないよ 足りないよあたしなら 潰れていいよお願い ためらわないできつい 抱擁をしてあたしだけ 満たされない誰でもいい 髪を撫でてとにかく そばにいてそれだけでいいからそれのみでいいから ほら 昼間のワイドシ…

  • アリジゴク – 荘野ジュリ

    私は 小さなアリのように匂いにつられその優しさ その弱みを貪ぼる 失敗作だから哀れみを もらう前に自分の手で 壊せるだけ 壊した 開けっ放しのこの肌散らかった 関係はけ口にだって なれる便利な 部屋 買って 買われて 懲りてまた 誰かを 探して軽くて 軽くて 泣けた汚れたかったんだ 私は 小さなアリのように一人きりじゃ 何もできない群がらなきゃ 出来ない 裏切られる度 いつもほっとして 笑うんだ愛…

  • 負け犬の遠吠え – 荘野ジュリ

    どうせなら 突き放してどうせなら 捨ててどうしても この気持ちうまく 剥がれない あなたなど 嫌いだよあなたなど いらないまた負け犬の遠吠えになってしまうかな 街まで散歩に行こう また嫌な顔された でもね尽くせば 同情を 買えると思った バカなんだね 嫌いになれないどころかその顔、見るたび シッポ振ってしまう どうせなら 放っておいてどうせなら 拒否ってどうしても この気持ちうまく 離れない あな…

  • ワタシヲミツケテ – 荘野ジュリ

    名前も無い 白くて小さな花が雨上がり 一雫の愛を感じて咲いた お願い 気付かないでそのまま 通り過ぎてあなたに 愛されたいと願ってしまう前に ひとりきりで 枯れていくのかな 太陽照らして ワタシヲミツケテ涙よ 流れずこのまま このまま潤していてくれる? あなたにとっては その目広がるそう ただの背景の一部それでも それでも忘れずに 描いて 言葉が欲しい 嘘でもキレイ事でもあなたを 癒せるのなら何に…

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