荒木由美子

風たちの午後 – 荒木由美子

ベランダの花が蕾をつけたこと
まだ知らせてはいませんでしたね
すごく可愛いですよ

さっき洗いたての真白なブラウスに
霧吹きかけてアイロンしました
ラジオつけたままで

ありふれた日の当りまえの午後
変ったことは何もないけど
とても風がさわやかだから
この手紙 紙飛行機にして
あなたの許に届けます

二階ではママがミシンを踏む音が
私の夢を広げてくれます
ミモレのドレスですよ

覚えたばかりの新しいステップを
今度あなたに教えてあげます
割りとカンタンみたい

ありふれた日の当りまえの午後
今すぐにでも会いたいけれど
とても風がさわやかだから
この手紙 口づけで封をして
風に託して届けます

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私はブランコ – 荒木由美子

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つむじ旋風(かぜ) – 荒木由美子

はずした後もイヤリングの感触が耳に残って何気なく手をやればさよならの先刻(さっき)の言葉燃えてる耳に生きている追いかけたいのにつむじ曲りのつむじ旋風巻き上げられ

春に吹かれて – 荒木由美子

新しいドレスの事 一言も聞きもしないでいきなり 反射神経ゼロ なんて ひどすぎるわ入口のガラスの扉に ぶつかったのは良く磨かれた 季節のせいなのよ声ばかり 大き

硝子坂 – 荒木由美子

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渚でクロス – 荒木由美子

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シャワーのあとの 髪のしずくを乾いたタオルで 拭き取りながら彼が窓辺で 話しかけるわ流れる雲さえ 季節の色だと私は軽い目まいを感じマニュキュアの指 かざしてみる

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