草野華余子

最後のページは開かずに – 草野華余子

拝啓、雨のち雨です
気怠い身体 お構い無しに列車は揺れる
知っていたけど やっぱり今日も奇跡は起きない

繰り返し 泣けない夜を過ごしても
貴方が飲んでいた珈琲は ずっと苦いまま

巡り巡る季節に 置き去りにしたままの
伝えられなかった さよならの言葉
いつか届くのなら と 握り締め歩いてる
こんなわたしを 馬鹿だなぁ、と 笑い飛ばしてよ
ねぇ、笑っててよ

拝啓、終わらない Rainy days
そういえば あの日も こんな雨でした
貴方が不意に 終わらせたストーリー
最後のページ 知る術もないままで

目に映るすべて 当たり前じゃないこと
どうして 忘れていたんだろう?

ゆらりゆれる記憶に ぽつり浮かぶ貴方が
どんな顔をして笑っていたのか
段々と薄れてゆく それに気付いたとき
流れる日々に風が吹く 振り向けば 遠く 懐かしい声

書き足されることないストーリー
滲んでいくインク 雨のせいにして
いつかは 笑顔で思い出せるだろうか

傘を閉じれば
雲の切れ間から そっと降り注ぐ光

巡り巡る季節に 貴方と出逢えたから
何気ない日々が 奇跡だと知った
終わらない物語 大切にしまったら 行かなくちゃ
最後のページはもう開かないよ
今 さよならを告げよう

また 逢う日まで、いつか

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