若原一郎

裏町のピエロ – 若原一郎

涙かくした 三角帽子
そっとのぞくは プラタナス
町のピエロの 哀しい胸を
知っているのは
知っているのは 空ばかり

雨のペーブで 拾った恋も
消えてはかない 虹の恋
残る思いを せつなく吹けば
クラリネットも
クラリネットも むせび泣く

更けて屋台で しみじみ酔えば
空にピエロの 眉の月
どうせこの世は 芝居じゃないか
浮いて浮かれて
浮いて浮かれて あすもまた

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風の小六 – 若原一郎

風の小六は 泣かぬぞえ泣いたとて 泣いたとて明日の 明日の天気が 変ろぞえやんれ やんれ やんれさ風の小六は 泣かぬぞえ泣いたとて 泣いたとて白い 白いまんまが

吹けば飛ぶよな – 若原一郎

おおい どしたい元気かいネオンまたたく 街角はうれし涙の わくところ吹けば 飛ぶ飛ぶ飛ぶよな 仲間なら誰が離さりょ この腕(かいな)僕もやるから 君もやれポルカ

アカシヤ列車 – 若原一郎

今日かぎり 泣いた日に さよならしたら愛という 大切な 荷物をまとめ明日への 明日への 汽車に乗ろうよ愛ひとつあればいい好きなのはお前だけ二人して 旅に発つ 夢

少女 – 若原一郎

だまってそばに いるだけで花の匂いの するひとよ前髪風に ふさふさと君 なに憶う から松の林の径に 木もれ陽淡くさびしいときに いつもきて肩にしみじみ ふれた手

ながれ雲 – 若原一郎

赤く咲いても 涙の花は日昏(ぐ)れの丘の 曼珠沙華誰れも知らない 寂しいこころ風にふるえて ああ しのび泣く君と手を取り 歩いた道もひとりで行けば 影かなし濡れ

アイヨ何だい三郎君 – 若原一郎

“オーイ 中村君”アイヨ何だい 三郎君僕と君との 仲だもの逃げる公算(つもり)は ないけれど家で女房が 今頃はさぞや帰りを 待つだろう思や 思や心も あゝうわの

東京ナイト – 若原一郎

銀座は雨も 虹の色溶けたネオンを 踏んで行こ小さい傘が 只ひとつ世界は 僕とあなただけあゝ ワンダフル ワンダフル東京東京ナイト六区の空が 映ってる隅田パークの

つばくろ笠 – 若原一郎

男わらじを 涙ではけばまたもひと吹き 小夜(さよ)あらし仇(あだ)な仁義に 生命(いのち)をかけたこれがやくざの 泣き笑いあばれ月代(さかやき) 情(なさけ)が

とんび平に歌がわく – 若原一郎

君と僕とは 街角で出逢った不思議な 縁なんだ雲に誘われ はるばるとやって来ました この丘へ風もみどりの 甘い風歌およ二人の 若い歌ヤィヤィヤィヤーイヤヤ ヤヤー

恋の藤十郎 – 若原一郎

役者頭巾(ずきん)の 濃(こい)むらさきにそっと隠した 男の涙どうせこの世が お芝居ならば河原千鳥よ 何を啼く楽屋鏡に浮んで 消える幼馴染の おもかげいとし仇な

港のおりくさん – 若原一郎

縞(しま)のお召(めし)に 西陣しめて枠じゃないかえ おりくさん徳利片手に 愛嬌まけばさわぐ筈だよ 与太さんがサ サエ 港町酔えばほんのり 目元が千両味があるぞ

ハンドル人生 – 若原一郎

バック・ミラーに 映った月が泣くのおよしと 揺れている運ちゃん 運ちゃんと呼ばれりゃオーケーと答えて しがない俺さだけどジャンバーの この胸にゃ夢がちょっぴり 

寅さん音頭 – 若原一郎

ハァー 花の葛飾 柴又生まれ味も自慢の 草だんご顔は四角で 心は丸い細い目もとの お人好し ソレ(トコ フーテン人生は寅さん音頭で ドンと行け)ハァー つらいつ

おーい中村君 – 若原一郎

おーい 中村君ちょいとまちたまえいかに新婚 ほやほやだとて伝書鳩でも あるまいものを昔なじみの 二人じゃないかたまにゃつきあえいいじゃないか 中村君おーい 中村

山蔭の道 – 若原一郎

白樺そよぐ 山かげの丘の細道 どこまでつづくああ君恋し 思い出のあの日につづく この道悲し夕月あわく 浮かぶ頃青い湖 なぜ目にしみるああ君恋し 君去りて面影ばか

風の吹きよで – 若原一郎

風の吹きよで 生まれた恋が風の吹きよで 消えたとてそれが浮世と 言うものさよせよ センチな泣きごとなどは肩を叩いて なアおい唄おじゃないか空を旅する あの雲でさ

丘にのぼりて – 若原一郎

丘にのぼりて 黄昏の山に向かえば ふるさと恋しああ いつの日かえるこの身やら心にしみる 遠い星青いすすきの 穂を抜いてかめば苦いよ ふるさと恋しああ 嫁ぐと聞い

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