船村徹・鳥羽一郎

兄弟船 – 船村徹・鳥羽一郎

波の谷間に 命の花が
ふたつ並んで 咲いている
兄弟船は 親父のかたみ
型は古いが しけにはつよい
おれと兄貴のヨ 夢の揺り籠さ

陸(おか)に上って 酒のむときは
いつもはりあう 恋仇
けれども沖の 漁場に着けば
やけに気の合う 兄弟鴎
力合わせてヨ 網を捲きあげる

たったひとりの おふくろさんに
楽な暮らしを させたくて
兄弟船は 真冬の海へ
雪の簾を くぐって進む
熱いこの血はヨ おやじゆずりだぜ

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泣けた 泣けた堪え切れずに 泣けたっけあの娘(こ)と別れた 哀しさに山の懸巣(かけす)も 啼いていた一本杉の石の地蔵さんのョ 村はずれ遠い 遠い思い出しても 遠

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