羽生まゐご

ぬらりくらり – 羽生まゐご

杏の色したあの子の店
誰も買わないボロ切れたち
今日はどうやらしけてるようだ
ふと目があった
「おひとついかがよ旅のお方
貴方の国の話をして
今日から僕と暮らしませんか
遊びませんか」

差し詰め守り人騒げば
やいやいやい
親知らず愛知らず

ぬらり くらり ぬらり
好機の憂い
切に礼に及び
逃しはしない
ぬらり くらり
わかりやしない砂の心に
懲りぬ理解のひとりに

しがないチンケなあの子の店
どうも様子がおかしいらしい
今日はどうやら売れてるらしい
忙しそうだ
こんなの初めてどういう魔法
其奴一体何者なの
浪漫少女に近づかないで
騙されないで

差し詰め待ち人強いては
やいやいやい
あの子との別れ道

ぬらり くらり ぬらり
輪廻の痛み
笑みに気づき遂に捕まりゃしない
ぬらり くらり
其方の色に惑う私に似合う指輪のひとりに

寂しかろうから
きっと貴方を愛したのでしょう
寂しかろうから

泣いて守るものあっても
私を置いてかないでよ

ぬらり くらり ぬらり
遠路の終わり
侘し寂し暮らしのべつ幕なし
恨みつらみ
其方の愛に惑う私に似合う首輪をください

愛憎執念盲信衝動
煩悩強欲怨念幻想
黒縄衆合叫喚焦熱
阿毘至大叫喚滅法

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