細川俊之

少年のころ – 細川俊之

ああ……雨がふっているなァ。
おまえは安らかに眠っている。
優しくあたたかいおまえの匂い
大丈夫さ……
おまえの眠りを妨げはしない。

夜明けが近いのに
雨ふりの窓は暗い
はるかな昔から
雨ふりを生きて来た
おふくろ……おれを抱いて
ごめんねと泣き乍ら言って
死んで行った夜明けも
雨ふりの……少年のころ

いつだって雨の中さ
いつだって陽かげばかり
しずくをたらし乍ら
ものほしげに……

おそらくこのおれは
雨ふりの夜の生れ
つめたい水滴を
あびながら生きて来た
おやじが……酔って帰り
ドレス着た女とどこかへ
消えて行った九月も
雨ふりの……少年のころ

あのころ……死んでいたら
こんなにも不幸せばかり
かさねずともよかった
雨ふりの……少年のころ
雨ふりの……少年のころ

人気の新着歌詞

ほろびの詩 – 細川俊之

ほろびのうたは たとえばこわれた自動ピアノひとりでに ころがって遠い時代に 帰って行くだれを訪ねることもなくだれと別れることもなくとるにたらない人生のとるにたら

あした君の許へ – 細川俊之

いつでも君のところへ行けるはずだったのに、ぼくにはまだ勇気がないでも、あしたには 多分……あしたには眼をとじる 君がみえる君の吐息 感じる眼をあける ひとりだけ

れんが色の酒場 – 細川俊之

この世にバラいろの朝が来るとはとっても思えはしないのにどうして二人は生きているのだろうあきらめた人生には優しい心だけが似合うだろう何も言わずにぼくをみつめてぼく

ともだち – 細川俊之

寒すぎる季節におわれたあてのない旅先で突然にあいつに逢いたくなった日暮れのともしびのようにはかなくてあたたかいあいつに逢いたくなった逢えるはずもない……あいつに

優雅な関係 – 細川俊之

いい奴に会わせるとあなたが連れて来たあの人とあなたはよく似てる淋しげな横顔で何にも言わないで優しい眼うるませるところなどあなたが旅立ったらあの人が来る私の部屋そ

コーヒーハウスの日々 – 細川俊之

少し前のつかれた日々ぼくはよくあの店でクリスティを読んだりしてた何時間も……だれとも話さないぼくだったがほんとうはだれとでも話してた今よりかはズッと………あのむ

めざめたら優しい歌を – 細川俊之

めざめたら 優しいうたをうたっておくれ……柔らかな おまえの胸に耳をあててだまってきいていたいからこのおれが ろくでなしでもうたっておくれ……いい匂いの おまえ

行きずりの街さすらい通り – 細川俊之

淋しい旅のワードローブはほつれたシャツの糸くずポケットに両手を入れてにぎわいの日暮れの街へ人が皆ゆたかに見える人が皆まぶしく見えるそれなのに街は底冷えの海だポケ

少女への手紙 – 細川俊之

もう逢うことも ないだろうけれどおまえの微笑み なくさないで欲しいあしたおれが いなくなってもおまえの哀しみは すぐに消える枯葉の音をきき 友達に電話をしてわる

海辺の画廊 – 細川俊之

北の海辺の小さな町はあなたが最後に生きた場所愛の座折に耐えられるほど強くはなかったあなたの海辺懐かしさとは哀しいものさ水にとかれて髪は藻になり白いからだにまつわ

Back to top button