石川智晶

  • Blue Velvet – 石川智晶

    あなたが大事にしてた青い膝かけがここにある今夜こうして幼子のように抱きしめて眠るのよねえいいでしょ?あなたは私の前ではいつも疲れていた気がするだから私はいい子でいるしかなかったけどそれはもういいの My blue velvet小さな灯りの暮らしの中で窓打つ雨眺めながらそう あなたがすべてだった あの日のあなたと同じ歳になって初めて知る鏡台の上飾ってた写真いつも伏せたままになっていたけど自分を救える…

  • 逆光 – 石川智晶

    放し飼いにされた大海原で迷ったふりして 右往左往してどこまでも認めたくないんだよもはやヒトではないことを 空に浮く白い鳥 美しいと目を細めても今宵 クヌギの木の住処へ足を踏み入れる なんてあさましい奴かと光の前に平伏してどれだけ謝ればいいんですかああ逆光は体を黒く埋めつくすたぐいなき日々を前にしてマブシクテ マブシクテ 「ここでは何をしてもいいんだよ」何百回もまじないのように唱えた先に押し寄せる闇…

  • 僕の空に季節はずれの雪が降る – 石川智晶

    ほら僕の空に季節はずれの雪が降って見上げた白く眩しいもの どこで生まれたとか 何をして来たとかそんな重ねて来た過去が体を重くさせるよなのに悲しいくらいそれなしではいられない君に真っすぐ歩いても行けなくて ほら僕の空に季節はずれの雪が降るのは遅咲きの花には寂しいこの白い毛布に隠れて咲くような人間に君は本気で話してくれないはずだから 無人の滑走路にいつまでも立てない人間をもうひとりの僕がその背中に吠え…

  • 涙腺 – 石川智晶

    あなたの背中に羽を見る槍の先に宿るものとは悲しいほど無縁のものでしょうあなたの役目は他にあったはず 穏やかな川面を眺めてわずかばかりに白波が立つもはや祈ることしか許されないいっそ此処で朽ち果てて欲しい ゆらゆらゆ~ら揺り籠揺らすように強く静かにこの手が止まることはないただ待ち続ける 朝靄に消えてく勇者に慰めひとつも言えなくて花びらひとつ 手のひらに乗せるどれもなんて頼りないんだろう ゆらゆらゆ~ら…

  • Shylpeed~シルフィード~ – 石川智晶

    柔らかな後れ毛は日溜まりのように金色に輝いて少女の時を刻んでいくよこのまま消えることができたなら小さな傘さしてあるはずもない水たまりに白い翼を映すよ Shylpeed 幻のように一日が終ればいい赤色の日差し唇に触れる前にあなたに会いたい この羽が欲しいなら大事なものを差し出せと「私はこの季節しか咲かない花です」手紙を約束の木の下埋めた時にはもう私は少女ではなく自分さえなくなっていた Shylpee…

  • クラウディ – 石川智晶

    僕の心が見えるだろうか?月の光に照らされながら帰る道がわからなくて座り込む気休めの旅が薬にならず感情をプレスしたままで終って曇り空は黙りこんだ寂しい夜はいつも残酷なほど用意されてる cloudy sky 昨日までの僕を動かした声が消えていくこれからの僕は単純にもっと靴を鳴らして行ける 僕の心がわかるだろうか?誰かに強く愛されたいと望んでいるのに求めてないんだたぶん両手を差し出されると花束押しつけら…

  • 太陽 – 石川智晶

    心と体が追いかけあう切なさは説明できないくらいがちょうどいいんだ寝転んで見つめる空にもう何も言う事はないWhat color would you paint the sun ?太陽の下の安らぎに戸惑うけれどYou’ve got what it takes.それは永遠という長さではない 時々世界がひとつの小さな箱の中で始まって終って行く夢を見る太陽はただ約束を緩やかに繰り返してたI go…

  • 49scale – 石川智晶

    そんじょそこらの流儀などいらない風を詠める者だけが明日を生きるのさ掴まされた剣より素手で感じろ時に勇者であることよりも時代の手足になりひたすらに戦士であり続けた者天と地が笑いかける 濡れてる虎の手のひらで暴れる鹿の角つかみ背中の鱗にまたがり喉元逆鱗触れずに たえず威嚇して身を守るより厳つい滝を登れるのならばそこらの魚でも竜になれるものなのさ 並んだラクダの頭で静まる鷹のツメを研ぎ迷わわぬ蛇の首抱い…

  • First Pain – 石川智晶

    誰かを永遠に失ったことなんてまだないけれどこれが最後かもしれないと見つめた朝があった まっすぐに延びたこの白線を踏み外さないように歩くのはもう未来をひとつ捨てているのと同じじゃないか‥と微笑う どうして自分の体なのに自由にしてはいけないの?君の瞳に嘘を重ねてもその答えは出さない 人混みに自分の気配消しても繋がろうとしないその姿は細い糸でせつなく結ばれてる者には眩しく見える ヒトになろうとして何度も…

  • 誰も教えてくれなかったこと – 石川智晶

    頬杖ついて 溜息をひとつ完成間近の 泣き顔のロボット固まりかけていた紙粘土両手で崩してしまったよ優しい目を向けないでと 無我夢中で走ってさえいたらチョウチョ巻き上げた分だけ風を起こせると思ってた誰も教えてくれない誰も教えてくれなかったこと ふいにこの手を払われたことで何かしてあげようと空回りしたよ可愛そうだという慰めに似たもの心の四隅に隠れていたかもしれない あの時本に書いてあったことが色鉛筆12…

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