真木柚布子

歌謡芝居「ホタルの恋」 – 真木柚布子

昭和20年 桜の便りが届く頃 敗戦色濃い日本軍は、未来ある青年たちに、
特攻と言う悲惨な命令を下し、国の運命を託しました。
その若い命では、大きな使命を背負いきれないことも、大切にする家族や
愛する人さえ守る事が出来ない事も、すべてわかって、
知覧を飛び立って行ったのです。
そして、その突撃前のほんの短い間、
青年たちの身の回りの世話をしたのが、
地元の女学生達だったのです。
これからお話しするのは、二度と帰らぬ人と永久の恋を紡ぎ、
思い出の桜を振って、
愛する特攻兵を送り出した少女の、生涯をかけての恋の物語です。

あいから、何度目ん桜になるでしょうか
あん人とん約束を守って、毎年こげんして ここに来ています。
気づけば いつん間にか私は、歳をとってしまいもした。
じゃっどん あん人は あん時のまま戻って来てくれます。
私には 桜ん中を飛ぶ ホタルが見えるんです

そっと両手で つかまえた
夢が逃げます 浮世川
儚い運命(さだめ)なげくより
ふたりで燃えた 命火をこころに灯す
ホタルの恋よ

えっ?明日?‥・明日出撃するんですか?‥
もう一度、ちゃんと私の目を見て言ってください‥
‥本当に明日行かれるんですか?
こげなとき‥私は何と言って差し上げたらよかとでしょうか?
本来なら、お国ん為に立派にお役目を果たしてください‥
そげん言うて明るく
送り出すのが、私達女学生の務め。
じゃっどん、私には言えません。
心ときめき、一縷の望みを持って、あなたとの幸せを夢見ちょったのに‥
なんごて お国ん為に大切な若か命を犠牲にせんとならんとでしょうか?
お願いです!かならず帰ってきてください。世間からなんち言われても、
かならず‥かならず帰って来てください。

そん時、あん人は穏やかな笑みを浮かべながら、こげん言うたとです。
数十年さきの日本の平和と、何よりも
大切に育ててくださった両親や家族、
そして愛するあなたを守る為に行くんだと。
最後にあん人は「きっと帰って来ます
僕はホタルになって、あなたの元へ帰って来ます」
そん言葉は、あん人が私に残して下さった最後ん言葉になりもした。
翌日、私達はいつものように桜ん枝を手に、戦闘機が見えんごとなるまで
振り続けもした。
私は、爆音の中「好きです!いつまでもあなたを待っています」
と声が枯れるほど必死に叫んでおいもした
手に持った桜ん枝には、ひとひらの花びらもなくなり、
足元は散り落ちた桜ん花びら
で染まっておいもした。
そいはまるで、全てを奪い取られた 私の心じゃったかもしれません。

生まれ変われる ものならば
はぐれ蛍になりましょう
世間(あっち)の水が 苦いなら
あなたの涙 飲みながら
生きればいいの ホタルの恋よ

あ、ホタル‥・あなたですか? やっぱり あなたですね
約束通り帰ってきてくれたんですね 私にはちゃんと見えますよ
お帰りなさい!私ん声が、届いてますか?

きっとすべては うたかたで
流れ流れて ゆくばかり
いつかは終わる 恋ならば
夕陽の赤に 身を投げて
燃え尽きたいの ホタルの恋よ

あん日から、もうずいぶんの時が流れてしまいもした‥
あなたに守っていただいたこん命。今も大事に生きていますよ
いつか こん命が尽きたなら、今度は私も 桜んホタルになりましょう
そして、時を重ねて二つんホタルになって飛びましょう

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