真依子

山ざくら – 真依子

さくら、さくら、山ざくら、
私は髪を挿しました。
山ひめさまになりました。

さくら、さくら、山ざくら、
その木の下に立ちました。
山ひめさまは立ちました。

さくら、さくら、山ざくら、
舞つておみせ、といひました。
山ひめさまがいひました。

さくら、さくら、山ざくら、
ひらりしやらりと舞ひました。
山ひめさまにみせました。

さくら、さくら、山ざくら、
髪から、みんな散りました。
駆け駆けかへる山みちで。

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星のまたたく夜は – 真依子

星のまたたく夜は あまりに大きな宙だから隣の家にともる灯に ほっとしています宙が息を吹きかけて 稲穂を揺らして遊んでるちらちら町にともる灯は 消さないでおくれこ

私日和 – 真依子

窓を開ければ 髪をとかす風今日の私は ふふふ ほほ ひらり魔法をとなえて 髪を結いましょう今日の私は るるる らら きらり窓を磨けば 透きとおる景色雲一つない 

百日草 – 真依子

「体が一番大事」 いつもの口癖お土産にくれた野菜 土の匂いがした何一つ変わらない風景の中でいつの間にか歳を重ね 手につかまり歩いてる百日草が咲いている 夕日の中

夏野菜 – 真依子

川と流れる蝉の声 魚がくつろぐその上にひんやり浮かぶ夏野菜 冷えてもまっ赤な完熟トマトごくりと飲んだ川の水 つまみにキュウリもひとかじりスイカも早く食べたいな(

ほたるの森 – 真依子

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大音糸引き唄 – 真依子

幾千の繭が一本の糸になり音になる静かな 静かな 賤ヶ岳の麓音になる 音になる 大音の里で賤ヶ岳から流れる水で糸を引きます琴糸の音に名高い琴糸なれば賤ヶ岳から鳴り

花はいつも咲いている – 真依子

草に背丈が隠れる頃 草むらかき分けトンボになった夕暮れいつもの帰り道 足下の花 跳んではよけたしゃがんで見える風景は 幼い頃と同じ目線大人になれば見渡せるけど 

千年桜 – 真依子

千年の時空を超えここにいます 遙かなる時空を超えここにいますこの手 この枝 さしのべる春 君に届けましょう 私の心この峠登りし君の目に 映る私の姿長く険しい道の

ふきとひよこ – 真依子

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かわらないもの – 真依子

山よ 川よ 草よ 木々よ 空よ 雲よ 太陽の光かわらないものの前で 何かが込み上げてくる忘れてた懐かしい 遠い遠い場所からかわらないものはいつも 惜しみなく包ん

さくらこ – 真依子

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さくらの木 – 真依子

もしも、母さんが叱らなきゃ、咲いたさくらのあの枝へ、ちよいとのぼつてみたいのよ。一番目の枝までのぼったら、町がかすみのなかにみえ、お伽のくにのやうでせう。三番目

夢見草 – 真依子

梢を渡る 春の風火照った頬を 撫でていくもの思うたび 人はなぜこの大空を 見上げるのちらほら ちらほら 花つぼみほの淡き紅のいろちらほら ちらほら 夢つぼみ人知

なごり桜 – 真依子

桜舞う 別れの予感ひとひら 一言 「さようなら」あれから 千言 想うこと今でもかわらず愛してるこれからもきっときっと愛してるはららかに はららかに 涙はららかに

月桃 – 真依子

月を見い見い 思い出す二度と逢えない 面影を せめて指先 触れられたらと透けないように浮かべてみてもまばたきのあと 瞬く夜空逢いたいよ 逢いたいよ月に願いを込め

ぽろぽろほたる – 真依子

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花火の行方 – 真依子

夏の終わり すいかを割ったらまっ赤な花火 広がっていた甘くて冷たい夜空を食べたら花火の種 散らばってお皿の上で光ってるどんっ!ぱっ!一瞬一瞬に全てをかけて夜空に

おちょこのうつわ – 真依子

泣き虫でごめんねおちょこのうつわだからおっとっとっとっまたすぐに涙があふれてくるこぼれる前にくちづけを…わがままでごめんねおちょこのうつわだからおっとっとっとっ

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ふたりしずかに咲かせておくれささやかな野の山にふたりしずかに咲かせておくれもういいでしょう?これ以上離れるのは いやもう二度と離れるのは いやふたりしずかに咲か

無花果(いちじく) – 真依子

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