畠山美由紀

遠い灯、遠い場所 – 畠山美由紀

両手を広げて
降り積もる木の葉の色を
集めてつくった あなたとの夕暮れ
途切れた風に気づくまで

忘れていたけど
二人でいつも歌っていたわ
明るい朝日と 目覚めた鳥のうた
微笑むように光る波

砂に還った想いも 見知らぬ国の匂いも
全部あなたにあげたい
帰る場所がない子供のように 目を閉じて
あなたの声を探そう

あぁ 今では遠い 夢より遠い
捉えたはずの笑い声が
あぁ かもめの群れの 上より高く
風にまぎれて 遠ざかってゆく

あなたの灯りが ともっていれば嬉しかったわ
裸足ではしゃいだ 雪の日の思い出
夜明けが告げた 若い夏

胸にしまった自由も 飛べない鳥の願いも
全部あなたが教えてくれたの
帰る場所がない子供のように 目を閉じて
あなたの声を探そう

あぁ 今では遠い 夢より遠い
聞き慣れていた笑い声が
あぁ かもめの群れよ つかまえていて
他には誰も 代われないのだから

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