畠山美由紀

  • 大阪しぐれ – 畠山美由紀

    ひとりで 生きてくなんてできないと泣いてすがればネオンが ネオンがしみる北の新地は おもいでばかり雨もよう夢もぬれます あゝ大阪しぐれ ひとつや ふたつじゃないのふるきずは噂並木の堂島 堂島すずめこんなわたしで いいならあげるなにもかも抱いてください あゝ大阪しぐれ しあわせ それともいまはふしあわせ酔ってあなたは曽根崎 曽根崎あたりつくし足りない わたしが悪いあのひとを雨よ帰して あゝ大阪しぐれ…

  • ふたりの出来事 – 畠山美由紀

    古い映画を観に行こう午後の授業だけさぼったら隣町まで電車に乗って誰にも内緒の待ち合わせ雨上がりの青空 夏がはじまる予感ただ 風に吹かれて駆け落ちするみたい 澄み渡った瞳の中に映るたちあおいの花が揺れているわ時が過ぎてもきっとわたし 覚えているふたりの出来事駅に着いたら席を立つ 青い夕暮れ立ちこめて次の電車には乗らなくちゃけれど話は尽きないままふたりはどこへも帰れない西の空に瞬く 星がささやきかける…

  • 愛はただここにある – 畠山美由紀

    愛はただ ここにあるやさしさにつながれてこたえなきこの日々を ふたりわかちあい 生きるだけそばにいて だれよりも たいせつな ひとだからあなたこそ しあわせに なってかけがえのないひとよ ねぇ いつも言葉にしたらすくいきれない想いがあるのなんども手をにぎるのはそのせいかもね あなたは知ってる たがいの傷に手をそえては風やまぬこの街で暮らしてきたけどそんな笑顔 少しずるいねわたしばかりが その強がり…

  • BLINK – 畠山美由紀

    瞼を閉じれば 赤く全てが遠のき 力が抜けてく胸に吸い込んだ 風の行方をみている なにもかも淡く滲む 真夏の濃い影や落ち葉を降らせるトウカエデ 深く遡りつづけるいつか二人が互いを見つける日まで 瞼を開けば 星が粉々に消えて 暗闇が戻る巡りつづけるよ わたしあなたに会うまで その日が来るまで 瞼を閉じれば 青くどこまでもつづく 砂浜にひとり街明かり遠く燈りわたしを導くなにもかも淡く滲む 踊り場の残響や…

  • ソングライン – 畠山美由紀

    微かなでも凛としたこの共感を受け取って歩いてゆく確かなそう今というこの瞬間を震わせて旅してゆく 銀色の波 金色の草無限に沸き上がる譜面にできないメロディのよう 真珠の光 翡翠の泉まぼろし投げかける文字で書かれない手紙のよう ソングライン ソングラインかがり火を手に進んでゆこうソングライン ソングライン風の宮殿見つけにゆこう この喜びを涸らしてはならないこの悲しみをなくしてはいけない 静かに耳を澄ま…

  • 呼吸するより速く – 畠山美由紀

    わたしが知りたい事を知っているのはあなただけそれを知ったら私は生きてはゆけないのだろうけど 愛しすぎてはいけないと追いかけてはいけない人だと分かっていたはずなのに止めることなどできなかった あれはいつのことなの?初めて微笑(ほほえ)みを交わした そして叶わぬ恋がわたしを貫いたの苦しむよりも速く呼吸するより速く 不思議なことにわたしにはあなたの顔が覚えきれないのそれほどあなたの一挙一動がまぶしくて …

  • 口唇には歌を – 畠山美由紀

    ドアを開ければそこにはグルーヴの渦ベースに疼くよ私の中の何かが メロディとハーモニーフロアの煌めきみんな踊りだす汗が光って艶めく桃色の頬は公然のワイセツね music!口唇には歌をsong for you血が騒ぎだすから生きるとはこのことmusic!胸と胸を合わせdance to youビートに抱かれたらのぼりつめて果てたいの あなたとともにディープな夜の真っ赤な月影甘美な響きに幻惑されるあなた …

  • 会いに行く – 畠山美由紀

    裏切るなんて きっと無駄ね愛されなければ(‘Cause I knew it, I knew it well from the start) ずるい言葉と 知ってるけど憎めない人なの(‘Cause I knew it, I knew it, it’s more than words) 雨上がりの見慣れた街が好きだわきれいごとを洗い流し潔く汚れて見える 不意なくちづ…

  • チャイナタウンの朝 – 畠山美由紀

    人影まばらな早朝のチャイナタウンの路地 水たまり朝日が射す場所と暗いままの場所ふと匂うお線香 懐かしいな まだ子供の頃におじいちゃんに連れられて歩いた 横浜の華やかな人ごみ 優しいてのひら時を超え旅して行きたいな まだ何も失っていないそんな時代の中でよそゆきの顔をする前のあどけない時間 もう少しこのまま歩きたいすべてはカラフルな嘘みたい 硝子ケースの中の料理はまどろみ朝靄に汽笛が遠ざかる まだ何も…

  • サウンド・セイリング – 畠山美由紀

    まだ 陽は沈まないさあ 舟を漕ぎだそう 確かなことは 示されないでも そうよ このディレイああ この響きのディレイああ 耳にも目にも親しく染む(そむ) 投げかけた 同時にねそう そうよ このアイディア報われるの その佇まい 頼もしくそう そして 愛おしいああ 音づくりの未明ああ いつの間にか明けてゆくわ これでいざ 出発ね言葉もメロディも翼ひろげ… まるで まるで ほら重力も制約もない…

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