甲斐ゆたか

騙し舟 – 甲斐ゆたか

好きと言わない あんたの口を
指で抓(つね)って 添い寝する
背中の温もりで 分かります
あんたほんとは 優しい人
追(つ)いて行けない 人生(みち)だと
分かっていても 心騙し騙されて
せめてあんたが 帰るまで
一緒に乗りたい 騙し舟

嫌と言えない わたしの癖を
夜が笑って 逢いに来る
この肌の手触りで 分かります
あたしほんとは 冷たい女
消えて無くなる 恋だと
分かっていても 思い隠し隠されて
夢を見たいの いつまでも
明日(あす)を漕げない 騙し舟

追(つ)いて行けない 人生(みち)だと
分かっていても 心騙し騙されて
せめてあんたが 帰るまで
一緒に乗りたい 騙し舟

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赤い終着駅 – 甲斐ゆたか

小雪降り積む 寒い朝鉛の汽車 翻りあの人を連れて行く知らない町へ 連れて行く待合室の片隅で 膝を抱えて聞いていた 無情の汽笛聞いていたホームの横は 日本海生きて

想い出横丁 – 甲斐ゆたか

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