甲斐ゆたか

水鏡 – 甲斐ゆたか

桜の蕾が 咲く頃に
“逢いに行きます”と不意の便り

光って凍って 水鏡
屈んで髪解く 私がいます

長い間 空ばかり見て
冬の雲を 追いかけていた

明日はこの空 季節に返して
私 歩き始めます

ひと雨ごとの 春の風
あなたの胸にも 渉りますか

逢えない逢えると 花びらを
拾って浮かべて 日を捲ります

長い間 星を見上げて
一つのこと 願い続けた

明日はこの星 夜空に返して
私 歩き始めます

長い間 空ばかり見て
冬の雲を 追いかけていた

明日はこの空 季節に返して
私 歩き始めます

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