甲斐ゆたか

想い出横丁 – 甲斐ゆたか

白萩(しらはぎ)匂う 秋の宵
やっとこれたね 想い出横丁
二人暮した 外れの家は
今は赤い提灯 夫婦(めおと)のそば屋
あゝ苦労の道に あゝ思いを馳せて
あゝあなたが泣けば 私も泣いた
さあ 角の神社に 花など添えて
帰りましょう そして明日(あす)から
また 生きましょう

見覚えのある 二日月(ふつかづき)
ここでこうして 見上げたものね
暗い路地裏 面影消えて
今は青いネオンの 明りが揺れる
あゝ賑わう街に あゝ背中を向けて
あゝあなたとわたし 手をとり急ぐ
さあ 昔の夢に さよなら告げて
帰りましょう そして明日(あす)から
また 生きましょう

あゝ苦労の道に あゝ思いを馳せて
あゝあなたが泣けば 私も泣いた
さあ 角の神社に 花など添えて
帰りましょう そして明日(あす)から
また 生きましょう

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水鏡 – 甲斐ゆたか

桜の蕾が 咲く頃に“逢いに行きます”と不意の便り光って凍って 水鏡屈んで髪解く 私がいます長い間 空ばかり見て冬の雲を 追いかけていた明日はこの空 季節に返して

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