田川裕之

  • 浪花慕情 – 田川裕之

    呑ン兵衛横丁の 屋台でひとり酒におぼれた お前の噂 聞いて探した 道頓堀に呼べば響くぜ 中座の太鼓ひとめ見たさに 逢いに来たああ 浪花慕情の 命のおんな すねてはせばめた 世間の隅で俺とお前の ど阿呆暮し赤いネオンに 身を染めおうて泣いて別れた 宗右衛門町の運命指折りゃ 早や五年ああ 浪花慕情の 思い出ばなし ひと足ちがいの 小さな春を待てなかったか この俺さえも苦労させたと 肩抱きおうてお礼まい…

  • 一恋橋 – 田川裕之

    川の流れは とめどなく去り水面に映る 君恋し月どこの国から 夢路の旅よ提燈船の 賑やかさああ 一恋橋(いちれんばし)は ひと恋橋一度限りの なみだ橋せめて一夜(いちや)の せめて艶夜(えんや)にそっと そっと 抱きしめていて雲雀(ひばり)さえずる 霞んだ刻(とき)よあなたと出逢った 一恋橋 橋の下から 流れ星.てふたりの時間 君在(あ)りき恋いつの時から 問わず語りに一輪の夢 咲かせますああ 一恋…

  • 姉羽鶴 – 田川裕之

    愛の化身か 姉羽鶴雪の衣の ヒマラヤを越えて遥かな 千里の彼方風を抜き 雷雨を貫き ひたすらに飛べよ天空 雲の上五色(ごしき)に映えた 陽を受けて千年(ちとせ)の時代(とき)を 呼び戻したい姉羽よ 姉羽鶴よ鏡の海に 羽映し愛を伝えに 何処までも飛べ 筑紫遠火(つくしとおび)か 不知火(しらぬい)か北の流氷 オーロラかまたは万里の 暗夜の先か闇を抜き 五色の炎の 羽撃(はばた)きは明日(あす)の陽射…

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