田川寿美

他人海峡 – 田川寿美

海峡わたる 海鳥は
傷つきながら 身をよせて
船のマストで ねるという
恋に破れた このわたし
まぶた閉じても 眠れない
雪がちらつく 他人海峡
あなたを捨てにゆく

あなたにいつも 愛されて
添い寝のすきな 黒髪が
顔にまつわり 泣いている
みれんごころと 同じよに
沖でゆれてる 漁火よ
だれが名づけた 他人海峡
霧笛が吠えてます

いのちをそっと 詰めてきた
赤い鞄を 手にさげて
生きる明日を 見つけたい
旅の終りが 遠くても
呼ぶな東京 ふりむくな
北のさいはて 他人海峡
夜明けが道しるべ

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冬の日本海 – 田川寿美

北の海は荒れて波の 飛沫(しぶき)が頬を打つ海岸線の灯りが揺れて 貴方の面影消えてゆくはぐれ鴎が一羽 ねぐらを見つけたの私にはもう待つ人も ぬくもりも胸もない涙

北海岸 – 田川寿美

遠く聞こえる 海鳴りが 闇を引き裂き 啼いてる船も息を殺し 波を浴びてる 北海岸笑いますか 私を 愚かですか 私が思い切れない 今もなお 日毎夜毎に この身が細

みれん海峡 – 田川寿美

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霧笛 – 田川寿美

連れて行ってと 云えないまゝで船は出てゆく あなたを乗せて女に生まれた 倖せをあなたが教えてくれたのに却(かえ)らぬ夢ですか…今日も岬で あなたを待てば霧笛が涙

季節は流れても – 田川寿美

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海峡みなと駅 – 田川寿美

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こぼれ月 – 田川寿美

紅を拭きとる グラスの淵に写る寂しい こぼれ月冬の恋でも いいのです一夜だけでも 生きられますと花は深山の 寒椿明日のことなど 言わないで 言わないで女以上ね

女人高野 – 田川寿美

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約束 – 田川寿美

あなた何処(どこ)にいるの心がこわれそうひとりで夜空(そら)を 見上げてみてもあなたは帰らないいつも明るい微笑みでわたしを包んでくれた夢は遥(はる)かに遠く 輝

花一輪 – 田川寿美

こころが冷たい なみだが苦(にが)い別れてしみじみ 知らされた髪にこの手に かすかに残る憎い愛(いと)しい 移り香よ…あなた逢いたい 夜がせつないの明日(あした

花になれ -うめ さくら あやめ あじさい ひがんばな- – 田川寿美

夢見て生きた はたちのようにわたしは花だと いわれたい時代の風に さらされながら心もカサカサ 乾きがち流されて 流されて生かされて 生かされてうめ さくら あや

相惚れしぐれ – 田川寿美

呑んでいいけど 深酒およし身体(からだ)を厭(いと)えと叱った男あんたの笑顔に 心がゆるみ胸のつかえが おりたのさ外は宵から雨 雨模様降れ降れしぐれ 相惚(あい

雑草の泪 – 田川寿美

道に咲いてる 名もない花にもきっと 名前も 大事な夢もあるこんな切ない 世の中だけどわたしは 泣きません人はそれぞれ 涙の河を明日を信じて 越えてゆく恋をして 

海鳴り – 田川寿美

こんな別れが 来るのならあなたとは…めぐり逢わずに いたかった遠く聞こえる 冬の海鳴りがやつれた女の 胸を打つ愛の名残りを 掻き消すような北の岬の 波しぶき女ひ

女の舟唄 – 田川寿美

うねる荒波 身をあずけ北へ北へと 木の葉舟すてに来ました この恋をあなた一筋 燃やした命ああ 風が泣くつらい恋しい 忘れたい女の舟唄 うたいます海よお願い あの

花冷えのとき – 田川寿美

幸せな 素振りをしても淋しさが どこかにあるのあなた 信じているのに涙が出るの愛は壊れもの 夢よ行かないでいとしい人を 夜明けに送る窓辺のわたし 花冷えのとき抱

雨の連絡船 – 田川寿美

二日遅れて 船に乗る思い切れない この心たった一夜の 恋なのにひとり ひとりあなたを追いかけるあぁ 連絡船に雨がふる知っちゃいけない その名前持ったカバンに あ

鈴虫 – 田川寿美

月がきれいな 夜でした少しお酒も 呑みましたあの日をそっと思い出す窓の鈴虫 誰を呼ぶあなたに会いたいあなたに会いたい ひとり宿添えぬ人だと 知りながら恋をしまし

倖せさがし – 田川寿美

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浅野川恋唄 – 田川寿美

暮れてゆく 北の街なつかしい 金沢浅野川 流れにうかぶ思い出の かけら梅の橋から 東を抜けてあなたと渡る 仲之橋鏡花のお芝居みたいね、とふたりで笑った あれは遠

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