熊木杏里

顕微鏡 – 熊木杏里

ねえ まわりには生きられるだけ幸せな
人がいること どれだけの人が分かってる

手があることで 自分だけではないものに
触れるということ どれだけの人が信じてる

止まっている時計で
あなたが想像してる
うそや見せかけでは人は はかれない

今日あったこと
言葉にできる?絵の具の色くらい
水平線の先まで 届くくらいの声で
ひとりでかがみこんでる
自分だけが見える
あなたは顕微鏡で世界を見てる

ねえ あなたにも眠れない夜があって
なぐさめをただ 求めることがあるでしょう

もしふたりなら 自分だけではぬぐえない
涙流しても こぼれることはないから

朝目が覚めたときに
昨日の熱が冷めても
誰かにあたためられてた 記憶がある

今日が始まる
天気予報に晴れがないときでも
雨上がりには七つの 願い事が浮かぶ
あなたの顕微鏡には
今なにが見える?
小さな自分さえも見えないまま

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