焚吐

  • 普通の人 – 焚吐

    誰か早く僕のことを捕らえてくれないか虚構に手を染め 人のふりをした化け物さでもそのくせ人並みの幸福が欲しいだとか歌うんだな 誰か早く僕のことを罰してくれないか生まれるのも生きていくのも下手だったから無理はないよ 僕が君だったら迷わず手を下した 「異常」「下等」「理解不能」「可哀想」「他人事」ワイプから覗いた明け透けな嫌悪感神が全知全能というなら 僕をこうしたのはわざとかい? 世界へ抗う術のひとつと…

  • 愛、愛、愛、愛、そして愛 – 焚吐

    千住付近の繁華街 蒸せ返るような性の匂いに当てられ嘔吐した脅迫にも似たマウンティングと嘲笑そんじゃあ僕も この自己愛ってやつと一生添い遂げたならどうだろう…惨めになってきたからやめにしよう 「恋をする人は美しい それ以外特記すべきはない心を開けぬとて 情状酌量の余地はないぞ」ほら ほら ほら 今日も大型ビジョンの中とても綺麗事とは呼べない 残忍なことを歌いやがる 「さあさあ人類繁栄に貢献しておくれ…

  • シャボン王子と無間地獄 – 焚吐

    昔々のお話 某国の王子は気付いた「どうやら僕の瞳は他人とは少し勝手が違うようだ」いつからか家臣の声も民衆の声もお父様の声も色の付いたシャボン玉となって彼の視界を埋めた 喜びはピンク色 嘘をつけばすぐに濁った隠れて悪事を働く不届き者も一目で分かった「ああ この力さえあれば全部安泰だ」 そう確信したんだ人々は彼を“シャボン王子”と呼んだ ふわふわふわふわり… 絵本の中みたいな光景ぱちぱちぱちぱちり… …

  • 見切り発車 – 焚吐

    らったった 2000年代初頭 都内某所に生まれ 穏やかな家庭で育って 庭に柴犬クラスメイトは良き友でしかねぇ …んなことはそうそうねぇんだって突き付ける朝日 悲劇なら悲劇でさ もっとやりようがあったんじゃないか先に立たないはずの後悔が先陣切ってら 今日の明日が昨日だったり 何したってイレギュラーばかりプロットも出来ちゃいないのに駆け出した命転がってはみ出して恥かいて どこへ行くというのでしょう ア…

  • トリミング・トリミング – 焚吐

    ヤバい! みんなの愛で地球が暖かくなってるそうでなんて素晴らしいロジック! 君もそう思わない?海面上昇 国外逃亡 いつか叶えたい月への旅行希望溢る表情 TikTokかまして記録 悲か訃か朗の報 ろくに読まず1コメもらっとこうだけど他人の揚げ足取ったろう 「それはちょっと不謹慎よ」私スマホと脳みそ直列繋ぎだし仕方ないでしょ 重度の無知を電子の海に放流 パパとママがそう言っていたからあいつは救いようの…

  • 予測可能回避可能 – 焚吐

    世界は今日も 僕らを試しているんだねこんなにバレバレの落とし穴で人生なんてさ まばたきするうちに呆気なく終わっちゃうのだ 相手している暇はない そうやって閉じこもって 幾らか時間が流れましてこの小さな部屋の中ですら自分を見失った頃壁越しに笑い声 錆び付いたドアを開け放って ぬるい夏の風 分かっていたはずなんだ 傷付いてしまうということも怖かったはずなんだ 強いられてなどいなかったんだそれでも踏み出…

  • 死、予約します – 焚吐

    「信号が待てないから」 理由はそんなもんでいいか自分で思ってるより全然大人じゃないもんな仕込み途中のパン屋の香り 穏やかな誰かの寝息だとかをやけに鮮明に感じ得る朝です地獄にも思えた日々がちょっと愛しいです 恥捨ててホップステップジャンプ それを馬鹿みたいにループもう何から何まで最後の機会さ 悔いのないようにワンツー慣れ切んなかった 期待されぬことより自分を見くびる僕に 数秒経ったら僕は死にますご覧…

  • だって全部僕だから – 焚吐

    思い返せば賑やかな日々だった 世界を巻き込んで色々無茶をしたまだまだいけるかい? ならもう少しこの乱気流に身を任せて 夢が潰える前 新章へ お気に入りの曲聴いて また音楽が嫌いになる今日もそんな矛盾ばっかの自分とご対面 一人は心地好くて 独りは耐えらんなくてバラバラ もうガタガタ なのに惹かれた得体の知れない憎めない そいつの名前が命生涯僕らを振り回す張本人 ふと見渡せば僕だけじゃなかった 誰も彼…

  • 天使の寿命 – 焚吐

    この世で最大の不思議ここにあり気力も何も失くしたはずが ふいに立ち上がってみたり初めて他人のために怒ったり元を辿ればそこにはいつも君がいたり ああ 照れ屋が時折見せる優しさより息する如く 意気込むことなく「ありがとう」と言える君がいい生まれる時代を少し間違えていたら画家はこぞって神の容姿を君にしただろう 深緑の宝石が揺れる 「明日に疑念はない」 そう言いたげな瞳 間違いだらけの世界に 突如舞い降り…

  • シュレディンガー – 焚吐

    「私が居なくても大丈夫世界は顔色ひとつ変えず私を暗闇に置き去るだから だからそんな気休めを言わないで」なんて君の震う声どうも論点が違うような 微妙に噛み合ってないようだ 困ったな 確かに君が悩もうと 腹立つほど奴は無関心そのもの席を空ければ直ちに“より出来る駒”で埋めるだけでも違うでしょ それは所詮他人から見た自分でしょ君の世界で君はどうだ それだけが大切なんだ 「お前の代わりなど腐るほどいる」と…

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