火野正平

今年の薔薇 – 火野正平

深紅(あか)に黄に白に 薔薇が咲いた
今、おまえが霧の 水遣(や)る庭先に
俺は縁側の 籐椅子で
過ぎてしまう季節を どうもできなくて
爪を齧(かじ)る
命の限り知って 初めて沁みる ものがあるよ
また鳴くツグミ 空の青 後(あと)に遺(のこ)す
女の傷(いた)ましさ
護(まも)っているからね いつもあの宙(そら)で
たとえ瞳に 見えなくても
独りじゃないからね どんな時だって
駄目な亭主(やつ)でも 信じてほしい

虫の喰った葉を 千切りながら
ふと昔の浮気(こい)を おまえは冷やかした…
したい放題に やって来て
ボロは切りもないけど ごめん、来年は
ここにいない…
膝掛けなんかいいよ それより永遠(とわ)に 焼き付けたい
食器を選ぶ 皿の音 今日のワイン
ふたりの夕暮れを
黙っておくからね 千のありがとう
言えば心が 崩れるから
護(まも)っているからね いつもこの俺が
それがせめても 最後のギフト

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ためいきひとつポケットにおしこみみえないまちなみおもいながら山が青くて心すこし溶けひばりのたかさにあなたをみるもうそちらでも春でしょうかうすでのあのシャツ着れる

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雨上がりの空は うすむらさき色した夕映えをはこんで 人の波 染めるこの街に溢れる数えきれない愛失くしても生まれる 永遠求めて駅へ行く人の流れの中に懐かしいあなた

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